構成銘柄のダウ平均堅調への貢献度をチェック

 ダウ平均(ダウ工業株30種平均株価指数)は、1896年にダウ・ジョーンズ社が12銘柄による単純平均株価として開発したものです。1928年から、現在のように30銘柄で構成される単純平均株価指数(実際は除数で修正)となりました。

 ダウ平均は、米国経済や各業界を象徴する大型優良株30銘柄で構成されており、その時価総額(30銘柄合計)は約7.52兆ドル(約812兆円)と、東証1部全体の時価総額(約586兆円)、日経平均(225銘柄)の時価総額(約356兆円)はもちろん、日本の名目GDP(国内総生産=約554兆円/2019年3月時点の年率換算)を大きく凌ぐ規模となっています(時価総額は7月17日)。

 ダウ平均は、S&P500指数やTOPIXのような時価総額加重平均指数ではなく、単純平均株価指数(過去の株式分割などを調整する除数で修正)ですので、時価総額が大きい銘柄よりも、株価の高い値嵩(がさ)銘柄の構成ウエイトが大きく、ダウ平均の変動に対する寄与度(構成ウエイト)も高くなります。換言すると、株価水準が高い銘柄の指数寄与度は大きく、株価が低い銘柄の寄与度は小さくなります。

 図表2は、ダウ平均を構成する銘柄の構成ウエイトの降順(高い順番)で一覧したものです。例えば、ウエイト1位のボーイングの株価は369ドル台と30銘柄中で最も高く、ファイザーの株価は42ドル台と最も低いので寄与度は小さくなっています。

 注目点としては、ダウ平均の年初来上昇率(+16.7%)を大きく上回る上昇率を示している銘柄には、ビザ(+35.8%)、マイクロソフト(+34.2%)、アメリカン・エキスプレス(+33.3%)、シスコシステムズ(+32.0%)、アップル(+28.9%)などデジタル革命の進展に伴い収益を伸ばしている企業群が多いことです。

 一方、ウエイトが高くて年初来上昇率も高いホーム・デポ、マクドナルド、ゴールドマン・サックス・グループなどは、ダウ平均の年初来堅調を牽引してきた銘柄群と言えます。

<図表2>ダウ平均の構成銘柄【指数寄与率(ウエイト)の降順】

ティッカー 銘柄名 ウエイト 直近
株価
年初来
騰落率
PER 配当
利回り
INDU ダウ工業株30種平均指数 100.0 27,219.85 16.7 17.1 2.3
BA ボーイング 9.21 369.52 14.6 25.2 2.2
UNH ユナイテッドヘルス・グループ 6.64 266.65 7.0 17.7 1.5
HD ホーム・デポ 5.37 215.61 25.5 21.1 2.5
MCD マクドナルド 5.32 213.71 20.4 26.0 2.2
GS ゴールドマン・サックス・グループ 5.31 213.30 27.7 8.8 1.9
AAPL アップル 5.07 203.35 28.9 17.0 1.5
V ビザ 4.46 179.15 35.8 31.3 0.6
MMM 3M 4.35 174.67 -8.3 18.5 3.2
TRV トラベラーズ 3.80 152.38 27.2 13.5 2.1
IBM IBM 3.56 143.07 25.9 10.2 4.5
DIS ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー 3.55 142.57 30.0 22.6 1.2
MSFT マイクロソフト 3.40 136.27 34.2 27.8 1.3
CAT キャタピラー 3.38 135.73 6.8 11.1 2.7
JNJ ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J) 3.29 131.86 2.2 15.6 2.8
UTX ユナイテッド・テクノロジーズ 3.24 130.10 22.2 16.1 2.3
AXP アメリカン・エキスプレス 3.17 127.08 33.3 15.4 1.3
CVX シェブロン 3.09 124.14 14.1 15.9 3.8
PG プロクター・アンド・ギャンブル(P&G) 2.89 115.94 26.1 24.8 2.5
WMT ウォルマート 2.86 114.60 23.0 23.6 1.9
JPM JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー 2.84 113.99 16.8 11.2 3.0
NKE ナイキ 2.18 87.50 18.0 30.2 1.1
MRK メルク 2.04 81.92 7.2 16.9 2.7
XOM エクソンモービル 1.88 75.48 10.7 18.4 4.5
VZ ベライゾン・コミュニケーションズ 1.43 57.22 1.8 12.0 4.2
CSCO シスコシステムズ  1.43 57.21 32.0 17.2 2.4
WBA ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス 1.36 54.52 -20.2 9.2 3.3
KO コカ・コーラ 1.30 52.18 10.2 24.4 3.0
DOW ダウ・インク 1.29 51.60 NA 12.1 5.3
INTC インテル 1.23 49.39 5.2 11.2 2.5
PFE ファイザー 1.06 42.74 -2.1 15.0 3.4
※上記はダウ平均の構成銘柄をウエイト(指数寄与率)の降順に示した一覧。*PER(株価収益率)と配当利回りは市場予想平均(Bloomberg集計)。※単位は、ウエイト、年初来騰落率、配当利回りは「%」、株価は「ドル」、PERは「倍」。※ダウ・インク(DOW)は2019年4月にダウ・デュポンから分離して構成銘柄となった。
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2019/7/17)