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 石油輸出国機構(OPEC)は、国際石油資本から産油国の利益を守ることを目的として、1960年9月に設立されました。加盟国の産油量を合計すると、世界全体の30%程度を占めます。OPECの最高意思決定機関は、全加盟国が参加する総会です。直近の総会は7月1日にオーストリアのウィーンで開催され、翌2日にはOPEC非加盟の主要産油国を加えた「OPECプラス」の閣僚会談が開かれました。

 

【ポイント1】OPECなどの主要産油国は『減産』を9カ月延長

減産幅は日量120万バレル規模を維持

 OPECは7月1日に総会、翌2日にOPEC非加盟の主要産油国を合わせた「OPECプラス」の閣僚会談を開き、日量120万バレル規模の『減産』を延長することで合意しました。期間は今月から2020年3月までで、『減産』の割り当てはこれまでと同じくOPEC加盟国が同80万バレル、OPEC非加盟国が同40万バレルとなります。

 期間がこれまでの6カ月ではなく9カ月と長めになった背景として、世界経済の減速による原油需要の後退懸念や米国の産油量の増加を踏まえ、原油価格の安定化を望むOPECの思惑が強く反映された可能性が指摘されています。

 

【ポイント2】OPECは足元で目標以上の『減産』を実施している模様

現状程度の産油量なら今年はやや需要超過に

 

 ロイター通信の試算によれば、2019年5月のOPECの『減産』順守率は143%となっており、OPECは足元で割り当ての日量80万バレルを上回る『減産』を実施しているとみられます。

 OPEC月報6月号によれば、2019年に需給を均衡させるために必要とされるOPECの産油量は同3,052万バレル程度となっています。2019年5月のOPECの産油量は同2,988万バレルとなっており、現状程度の産油量が続く場合、19年はやや需要超過となる見込みです。

 

【今後の展開】『減産』は今後も原油価格の支援材料となる見込み

 原油価格安定のためには、OPEC等が『減産』を順守する必要がありますが、OPECが足元で割り当てを上回る『減産』を行っているとみられることや、サウジアラビアが『減産』継続に向けた強い意志を示していることから、当面は『減産』順守の可能性が高いと考えられます。

「OPECプラス」の閣僚会談が開催された7月2日の原油価格は下落しましたが、『減産』は引き続き供給面で原油価格の支援材料となる見込みです。