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『日銀短観』とは、日本銀行が金融政策運営の参考にするため、3カ月ごとに約1万社の企業に行う経済調査のことです。『日銀短観』では、企業の景況感に加え、売上高、収益、設備投資の計画などが公表されます。中でも大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が代表的な指標として注目されます。7月1日に発表された19年6月の『日銀短観』では、大企業・製造業DIが2期連続で悪化しました。

 

【ポイント1】大企業・製造業の景況感は2期連続で悪化

大企業・非製造業は改善

 19年6月の『日銀短観』は、大企業・製造業の景況感を示す業況判断DIが7と、19年3月調査の12から5ポイント悪化し、市場予想の9を下回りました。海外景気の減速や米中貿易摩擦への懸念が引き続き景況感の悪化につながったとみられます。ただし、3カ月後の先行きの同DIは、横ばいの7が見込まれています。

 一方、大企業・非製造業の業況判断DIは23と、前回調査から2ポイント改善しました。先行きの同DIは、6ポイント悪化の17となりました。非製造業は好調な内需を背景に、高めの水準を維持しています。

 6月の『日銀短観』は、前回同様、海外景気の減速や米中貿易摩擦への懸念を背景とした製造業の減速と、底堅い内需を背景とした非製造業の堅調さを示す結果となりました。

 

【ポイント2】設備投資計画は底堅い

19年度想定為替レートは109.35円

 19年度の設備投資計画は、全規模・全産業ベースで前年度比+2.3%と、前回から上方修正されました。また、ソフトウエア投資は19年度計画が同+12.9%と例年より高く、積極的な省人化投資を反映しているとみられます。

 大企業・製造業の19年度の想定為替レートは、1ドル=109.35円と、前回調査の108.87円からやや円安水準となりました。

 

【今後の展開】米中通商協議継続が貿易摩擦の緩和につながることを期待

 6月の『日銀短観』は、その回答期間が5月28日~6月28日であり、米中摩擦再燃による外部環境の不透明感の強まりなどを反映した公算が大きいとみられます。ただし、大企業・製造業の先行きDIは7と、6月調査から横ばいであり、悲観的な見方が更に強まっているわけではありません。製造業の景況感が予想以上に悪化したものの、非製造業の景況感は底堅く、設備投資計画も腰折れていないことから、景気は足踏み状態にあり、本格的な調整には至っていないと考えられます。今後は米中首脳会談での通商協議継続合意が貿易摩擦の緩和につながることが期待されます。