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米連邦準備制度理事会(FRB)は、年に8回開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)のうち3、6、9、12月に開く会合で、FOMCメンバーによる米国経済と政策金利の見通しを公表しています。米国の政策金利はフェデラルファンド(FF)レートですが、FOMCメンバーが予想するFFレートの水準を “点(ドット)”の分布で表現したグラフは『ドットチャート』と呼ばれ、将来の政策金利の動きを予測するうえでの判断材料とされます。
【ポイント1】2019年6月開催のFOMCでは金利を据え置き
声明文はハト派姿勢を強調
FRBは6月18日、19日に開催したFOMCで、FFレートの誘導目標レンジを2.25%~2.50%で据え置くことを決定しました。市場ではFRBによる早期利下げ観測が高まっており、FOMCで利下げに向けた地ならしが行われると見られていた通り、FOMC声明文で、経済見通しに関する不確実性に対し「辛抱強くなる」との文言が削除され、「適切に対応する」と修正されました。
【ポイント2】『ドットチャート』は0.5%の利下げを示唆
FOMC参加者によるFFレート予測値の分布を示す『ドットチャート』は、19年3月時点に比べ、中央値こそ不変の2.38%となったものの、予想の分布が下方にシフトし、19年の利下げを予想する参加者が8名となりました。そのうち、7名の参加者が年内2回となる0.5%の利下げを予想しました。
20年末のドットの中央値は2.63%から2.13%、21年末は2.63%から2.38%にそれぞれ引き下がりました。一方、20年は追加利下げを予想した参加者が1名にとどまると見られるほか、21年には利上げを予想する参加者がやや増加しました。
【今後の展開】『ドットチャート』が示唆する通り、年2回の利下げを実施か
今回のFOMC声明文や、公表された『ドットチャート』等から、FRBが米国の対中、対メキシコとの貿易摩擦など通商問題がもたらす不透明感への警戒を強めていることが見て取れます。景気の下方リスクに対する予防的な措置として7月、9月にそれぞれ0.25%の利下げを行うと見られます。一方、20、21年については、追加利下げを見込む参加者がほとんどいなかったことからも、利下げはあくまでも予防的なものであると見られます。
6月28、29日に開催される主要20か国・地域(G20)大阪サミットにて米中首脳会談が実施される見通しです。交渉継続に向けて何らかの合意がなされると見られ、協議の行方が注目されます。