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 プラスチックごみ『廃プラ』が海などへ大量に流出しており、海洋汚染が深刻な国際問題となっています。こうした状況の中、20カ国・地域(G20)エネルギー・環境相会合は6月16日、『廃プラ』の削減に向けた国際枠組みの創設などで合意し共同声明を採択しました。またその会合で日本はレジ袋の有料化を2020年4月をめどに義務化する方針を示しました。今後の取り組みが注目されます。

 

【ポイント1】大量生産されたプラスチックが自然界に流出

 プラスチックは大量生産され価格も安いため、使い捨てされやすく、海など自然環境へ大量に流出しています。『廃プラ』は耐久性が高いため、分解されにくく、滞留してしまうという問題があります。

 世界経済フォーラムによると『廃プラ』は世界で少なくとも年間800万トンが海に流出しているとされ、海洋汚染など深刻な環境問題につながりかねないとの懸念が高まっています。企業はコスト増につながりますが、レジ袋、包装容器、ストローなどで『廃プラ』削減への取り組みを始めています。こうした中、G20エネルギー・環境相会合において『廃プラ』の削減が最重要議題として取り上げられました。

 

【ポイント2】『廃プラ』の削減に向けた共同声明を採択

日本はレジ袋の有料化を表明

 6月16日にG20エネルギー・環境相会合は、『廃プラ』の削減に向けた共同声明を採択しました。具体的な削減策や目標は各国の自主性に任せますが、取り組み状況をG20など国際会議の場などで定期的に報告することなどにより相互に監視する国際枠組みの創設で合意しました。一方で数値目標は盛り込まれませんでした。

 日本は同会合でレジ袋の有料化を2020年4月をめどに義務化する方針を明らかにしました。ただ日本の『廃プラ』の内、レジ袋は重量で2%程度を占めるにすぎず、東京オリンピックにむけて、レジ袋対策への取り組みを通じて、日本の環境意識の高さを訴える狙いがあるとみられます。

 

【今後の展開】『廃プラ』への取り組みがノウハウを生かす好機となることを期待

 日本は食品包装やトレー、ペットボトルの使用割合は世界でも極めて高い水準にあり、プラスチック使用の一段の削減が求められています。一方で、生分解性プラスチックの開発など技術面での蓄積は進んでおり、『廃プラ』回収率も世界に誇れる高水準にあります。今後本格化するとみられる世界での『廃プラ』の取り組みがこれらのノウハウを生かす好機となることが期待されます。