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 オフィスビル仲介大手の三鬼商事は、オフィスビルの空室率や平均賃料を毎月公表しています。2019年5月の東京都心5区の空室率は1.64%となり、月次データの残る2002年1月以降での最低を更新しました。平均賃料は上昇基調にあり、オフィスビル市況の需給は引き続き良好です。オフィスビル需要の堅調さから、オフィスビル市場の品薄感は続くとみられます。

 

【ポイント1】5月の都心5区の『オフィスビル空室率』は過去最低を更新

新築ビルは上昇、既存ビルは低下

 6月6日に公表された三鬼商事の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の2019年5月の『オフィスビル空室率』は、前月比▲0.06ポイントの1.64%となりました。これは、月次のデータを振り返ることの出来る2002年1月以降で過去最低の水準となりました。

 新築ビルの空室率は同+0.30ポイント上昇して3.13%となった一方、既存ビルの空室率は同▲0.07ポイント低下して1.59%となりました。

 新築ビルの空室率の上昇は、満室稼働の大規模ビルなどが新築ビルから既存ビルの区分に移行したことによるものです。他方、既存ビルの空室率は、大型空室の一部に成約があったことから低下しました。全体としてみれば、引き続き、オフィスビルの需要は旺盛な状況が続いている模様です。

 

【ポイント2】平均賃料は長期的に上昇が継続

65カ月連続の上昇

 2019年5月の都心5区の平均賃料は、前月比+0.5%の坪当たり2万1,396円でした。平均賃料は、2014年1月以降、65カ月連続の長期間にわたり上昇が続いています。

 平均賃料は、新築・既存ビルともに上昇しましたが、なかでも新築ビルは同+0.3%の同3万1,405円と上昇が続き、前年比では+16.0%の大幅な上昇となっています。

 

【今後の展開】オフィスビルの需給はひっ迫が続く見込み

 2019年に都心5区で竣工が予定されている大規模ビルについては、入居テナントがおおむね決定し、当面まとまった空室は発生しないと見込まれているなど、オフィスビルの需給のひっ迫は続くとみられます。

 旺盛なオフィスビル需要もあり、J-REIT市場は堅調に推移しています。5月はオフィスビル需要などに加え、J-REITがFTSEのグローバル株式指数に採用される可能性が浮上したことによる資金流入期待もあり、REIT指数は上昇しました。好調な不動産市況、長期化する金融緩和政策などから、J-REIT市場は引き続き堅調な展開が見込まれます。