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『ドラッグストア』は、医薬品や化粧品の粗利益率が3割以上と高く、その利益を原資とした価格競争力や訪日外国人消費の急増などを背景に成長を続けてきました。ただここにきて既存店での売上の鈍化や深刻な薬剤師不足など競争環境が厳しさを増しています。こうした中、スーパー、コンビニエンスストアに続き『ドラッグストア』大手でも業界再編が加速し始めました。今後の動向が注目されます。

 

【ポイント1】急成長の続いた『ドラッグストア』に減速感

『ドラッグストア』の市場規模は2018年度に7兆円を突破し、コンビニエンスストアに迫る規模になってきましたが、ここにきて減速感が出始めました。背景には深刻な薬剤師の不足や都市部などで魅力的な新店予定地が限られてきたこと、訪日外国人消費の伸びにも一巡感が出始めてきたことなどがあります。

 こうした状況を受けて、これまで『ドラッグストア』の再編はイオン系列のウエルシアHDの再編を除くと地方の中小チェーンや店舗を買収するケースが中心でしたが、大手同士が提携・統合する段階に入ってきました。

 

【ポイント2】ココカラファインを巡って統合協議

『ドラッグストア』大手のココカラファインに対して、4月にマツモトキヨシHDが提携交渉の協議を開始していましたが、これに対してスギHDが6月に入り、両者での経営統合協議開始を発表しました。一方マツモトキヨシHDはこれを受けて提携にとどまらず、経営統合を含めた協議を進めると表明しました。

 スギHDは全国に約1,100店ある全店に調剤薬局の併設を目指しており、統合により同様に調剤に注力するココカラファインの調剤薬局事業との相乗効果などを見込みます。

 マツモトキヨシHDはココカラファインの持つ顧客データを活用したプライベートブランド(PB)商品の開発・販売や提携・統合による医薬品の調達、物流面での原価低減などを見込みます。

 

【今後の展開】『ドラッグストア』は大手主導による再編が加速

 ココカラファインは6月10日に経営統合案について検討する外部有識者による特別委員会を設置すると発表しました。マツモトキヨシHDかスギHDとの統合が合意されれば売上高は一気に9,000億円規模になり、業界首位のウエルシアHDを上回りトップになります。これまで急速な規模の拡大とは一歩距離をおいていたマツモトキヨシHDが統合に踏みだしたことからみても、今回の件は大手主導による再編が加速していく契機になると予想されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。