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『5G』とは次世代の無線通信規格で、「高速大容量、低遅延、多数同時接続」が特長です。4月には米国、韓国の一部で商用サービスが始まりました。中国は2019年に試験的、2020年には本格的な商用サービスを開始する計画でしたが、ここにきてそのスピードを加速させています。『5G』とAI(人工知能)は膨大なリアルタイムデータを的確に伝えて処理・分析する点で車の両輪とも言え、米中の開発競争は激しくなるとみられます。
【ポイント1】中国政府は前倒しで『5G』免許を交付
国有通信事業者など4社に商用免許交付
6月6日、中国政府は国有通信事業者など4社に『5G』の商用展開の免許を交付しました。米国とのハイテクを巡る覇権争いが激化する中で、『5G』開発のスピードを速めてきたものとみられます。
免許交付を受け、中国移動(チャイナモバイル)は9月末までに『5G』のサービスを提供すると表明しました。各社で試験ネットワークの構築や、ネット大手と提携したコンテンツ分野での『5G』の活用等が行われるとみられます。中国政府系研究機関は『5G』で2030年までに約260兆円の経済効果を見込んでいると報じられています。
『5G』は「高速大容量、低遅延、多数同時接続」の特長があり、リアルタイムで膨大なデータがやり取りされることになります。これを効率よく素早く処理するにはAIが強力なツールと言えます。
【ポイント2】中国の『5G』戦略は国家プロジェクト
『5G』商用化開始でAIプロジェクトも加速へ
中国政府は2017年、自動運転、スマートシティ、医療映像、音声認識の4部門からなるAI国家プロジェクトを認定し、着実な成果を挙げています。
2025年までには国内の全世帯の80%にワイヤレスの『5G』機器等の利用に不可欠な光ケーブル通信を普及させる計画で、広大な国土の高速データ化を急ピッチで進めています。これらは将来的に周辺国へも拡大するとみられます。
【今後の展開】貿易摩擦の争点『5G』覇権争い
『5G』時代の通信事業者は、今後展開されるあらゆる『5G』関連製品・サービスを支えるインフラ基盤を提供する重要な役割を担います。『5G』がインフラ基盤とすると、自動運転やスマートシティなどはデータを活用するアプリケーション、そしてAIはデータを処理する頭脳の役割を担います。
これらの先進的な技術の進歩は我々の生活を大きく便利なものに変えていくとみられ、今後の開発が期待されます。同時に、これらの技術は米中貿易摩擦の争点にもなっており、技術開発の重要さがうかがわれます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。