今回は「約定条件」についてお伝えします。

 約定条件とは、銘柄・限月・売り買いの区別・枚数などと同じ、発注の際に決める条件の一つで、一度(約定価格が異なる場合を含む)にすべての枚数が約定しない場合の対応をどうするかを決めるものです。

図:発注画面内の約定条件の位置

出所:楽天証券の商品先物取引ツール「マーケットスピードCX」より

 楽天証券の商品先物専用取引ツール「マーケットスピードCX」では「FaS」「FaK」「FoK」の3つの約定条件を選択できます。また、指値や成行などの「執行条件」に対して選択できる「約定条件」が決められています。

 3つの約定条件の内容は以下のとおりです。

図:マーケットスピードCXで選択できる約定条件について

FaS

(エフ・エー・エス)

Fill

and

Store

一度に約定しなかった枚数分は、
市場(板)に残す

約定

かつ

市場に
残す

FaK

(エフ・エー・ケー)

Fill

and

Kill

一度に約定しなかった枚数分は、
キャンセルする

約定

かつ

キャンセル
する

FoK

(エフ・オー・ケー)

Fill

or

Kill

一度に全枚数が約定しなければ、
すべてキャンセルする

約定

もしくは

キャンセル
する

出所:筆者作成

 また、マーケットスピードCXで選択できる約定条件と執行条件の組み合わせは以下のとおりです。

図:マーケットスピードCXで選択できる約定条件と執行条件の組み合わせ

執行条件

選択が可能な約定条件

(初期設定)

 

 

指値

FaS

FaK

FoK

成行

FaK

FoK

-

STOP

FaK

-

-

引指

FaK

-

-

引成

FaK

-

-

出所:筆者作成

 以下は発注後のイメージです。挙動の差がわかりやすいように取引量のすくない銘柄を例に用いています。(現在、楽天証券では中京ガソリンは新規の取引を停止しております)

図:中京ガソリンの複数気配値の画面(例)

出所:楽天証券の商品先物取引ツール「マーケットスピードCX」より

 

中京ガソリンが上図のような状態のとき、発注後は以下のようになります。

図:発注後のイメージ

執行条件

約定条件

枚数

指値

 

発注後のイメージ

指値

FaS
(初期設定)

10

49,170円

49,170円で5枚約定、49,170円で5枚の買い指値が板に残る。

FaK

10

49,170円

49,170円で5枚約定、残り5枚はキャンセル。

FoK

10

49,170円

一度に10枚約定できないので、全量キャンセル。

成行

FaK
(初期設定)

10

-

49,170円で5枚、50,150円で5枚約定、合計10枚(全量)約定。

20

-

49,170円で5枚、50,150円で5枚約定、50,600円で1枚、51,100円で1枚、51,600円で1枚、52,100円で1枚、52,600円で1枚、合計15枚約定、残り5枚はキャンセル。

FoK

10

-

49,170円で5枚、50,150円で5枚約定、合計10枚(全量)約定。

20

-

一度に20枚約定できないので、全量キャンセル。

出所:筆者作成


基本的に約定条件は初期設定(指値の場合はFaS、成行の場合はFaK)のまま発注することになると思いますが、あらかじめ約定条件の仕組みを知っておいても良いかもしれません。