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『建設業界』では来年の東京五輪向けなど高水準の受注額に応えるため、人手不足や働き方改革への対応を通じた施工能力確保が喫緊の課題となっています。『建設業界』は製造業などに比べて人手不足などへの対応が遅れがちでしたが、ここにきて工事の自動化施工や省人化に加えて、労務管理のデータベース化など人手不足などへの取り組みが進み始めました。今後の動向が注目されます。

 

【ポイント1】『建設業界』の人手不足は深刻

『建設業界』の人手不足は深刻な状況が続いています。2019年3月の「建設・採掘」の有効求人倍率(常用、含むパート)は5.05倍と全体の1.50倍を大幅に上回っています。また報道によると建設作業員約330万人の内、55歳以上が約3割と高齢化が進んでいます。

 ここもとゼネコン大手を中心にこうした事態への対応が進み始めました。なかでも工事の自動化施工や省人化、就業履歴や技能などの情報を蓄積する「建設キャリアアップシステム」などが注目されます。

 

【ポイント2】「建設キャリアアップシステム」の運用が始まる

 鹿島は、建設工事における情報通信技術の活用によるロボット技術の開発や現場管理手法の活用を加速して、2025年度に総作業時間の30%削減を目指す取り組みを行っています。困難な作業や単純作業の半分をロボットに任せながら、プロセスをデジタル化することで作業時間の短縮を図ります。

 今年1月から建設業振興基金が「建設キャリアアップシステム」の運用を始めました。作業員にICカードを配布して就労状況を記録してもらい、『建設業界』の統一基準でデータの蓄積を進めます。保有資格や研修の受講履歴なども登録します。鹿島や大成建設などは、主要な建設現場にカード読み取り端末を導入しました。作業員の能力を把握することで、優秀な作業員の待遇改善につながると期待されています。

 

【今後の展開】『建設業界』をあげた長期的視点での取り組みが必要

『建設業界』で作業員の人手不足への取り組みが始まりましたが、高齢者の引退や働き方の見直しなどにより、人手不足は今後一段と深刻化するとみられています。このため、『建設業界』をあげた長期的視点での人手不足解消に向けた取り組みが望まれます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。