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文部科学省と厚生労働省は『大学生の就職率』等について、年4回、共同で調査し、各翌月中旬頃に結果を「大学等卒業者の就職状況調査」として発表しています。『大学生の就職率』は非常に高い水準が続く中、経団連による新卒一括採用にかかる就活ルールの発表は今春卒が最後となりました。今後は、国際社会で活躍できる人材育成に向けた教育や採用のあり方が求められていくようになりそうです。
【ポイント1】今春卒の『大学生の就職率』は97.6%と高水準を維持
来春卒業予定の大学生・大学院生の内定率は既に50%超
5月17日に発表された「大学等卒業者の就職状況調査(2019年4月1日現在)」によると、今春卒の『大学生の就職率』は97.6%となりました。これは前年同期比▲0.4%ポイントと、過去最高だった前年をやや下回ったものの、調査開始以降2番目に高い水準です。
民間の就職情報大手によると、来春卒業予定の大学生・大学院生の内定率(内々定含む)は、5月1日時点で前年同期を8.9%ポイント上回る51.1%との調査結果が発表されています。
【ポイント2】現行の就活ルールは2020年卒が最後
経団連は指針作成を廃止、2021年卒は政府主導で現行日程が維持される見込み
来春卒の大学生については、日本経済団体連合会(経団連)の「採用選考に関する指針」により、企業による説明会は3月1日、同採用選考は6月1日が解禁日となっています。しかし、5月1日時点では既に半数以上の学生が内定・内々定を得ている状況で、現行の就職活動(就活)ルールの下では最も高い水準となっています。
就活ルールについては、中西経団連会長がルール廃止の可能性を示唆したことから見直しの議論が進み、来春卒を最後に指針作成の廃止が決定しています。翌年卒からは政府が主導でルールを決めることとなっており、2021年卒については、解禁時期はそれぞれ2020年卒と同じ日程が維持される見通しです。
【今後の展開】新卒一括採用を見直し、国際社会で活躍できる人材育成を重視
4月22日、経団連と大学は産学協議会を開催し、今後は複線的で多様な採用形態に秩序をもって移行していくべきとの共通認識を確認したと発表しました。また、企業はダイバーシティを意識して外国人留学生や日本人海外留学経験者を積極的に採用する方向であることや、これからの大学生は専門知識の他に文理の枠を超えた幅広い教養と数学や情報科学等の基礎的素養を身につけることが期待される、との見方を示しました。学生の売り手市場が続く中、新卒一括採用の見直しが進むとともに、国際社会で活躍できる人材育成に向けた教育や採用のあり方が求められていくと見られます。