1992(平成4)年6月16日

超電導電磁推進船「ヤマト-1」が進水

 

 1992(平成4)年6月16日、超電導電磁推進船「ヤマト-1」が進水し、初航行に成功しました。「ヤマト-1」とは、世界で初めて超伝導を利用した、電磁推進によって有人自力航行に成功した実験船で、船名の”ヤマト”は、日本を表す”大和”から名づけられています。ただし、この船が世界最初で最後の超電導電磁推進船となりました。

「ヤマト-1」は従来の船のようなスクリューを使用せず、代わりに、超伝導電磁石を利用し強力な磁場を作り出し、磁場中の海水に電流を流すことで、海水を噴射するウォータージェット推進方式の船です。

 その利点は、振動や音が極めて少ないことです。基礎研究は米国や欧米でも行われていましたが、とくにその静粛性に着目した米国海軍は、熱心に研究を行っていたと言われています。しかし、最終的に実用化に至らず、計画は放棄されてしまいました。

 計画中止の理由は、スピードが遅く、また一定しないことでした。理論上は200キロメートルまで出ると言われていましたが、真水では電流が通らず失速。また海水であっても塩分濃度が均一でないため、速度が安定しませんでした。

 日本での試験走行でも、全長30メートル、総重量185トンの「ヤマト-1」は8ノット(時速15キロメートル)しかだせず、また巨大な推進装置のため、乗船できる人数は10名程度がやっとの状態でした。

 試験運転で、期待と注目を集めた「ヤマト-1」でしたが、その実験結果は、世界各国の研究機関を落胆させることにもなりました。その後、2019年6月現在まで、実用化された超電導電磁推進船はありません。

 

1992年6月16日の日経平均株価終値は

16,953円53銭

ライター: FIX JAPAN 前沢ともあき