中国は“不買”で対抗 大豆は南米、関税引き上げ対象外でも原油は中東へシフト

 

 金額の面では全体的には中国が不利であるとみられますが、その中国は、一部の品目において、“米国から物を買わない(不買)”で対抗しています。中国でそれらの品目の消費が減少しているわけではありませんので、米国から買わなくなった分を、米国以外の国から輸入しています。例として、大豆と原油をとりあげます。

 まずは大豆ですが、全体的にみれば、米国は輸出国、中国は輸入国だと言えます。米国でも大豆を消費していますが、生産量が多く、輸出も行っています。中国では大豆の生産を行っていますが、国内の消費では足りないため輸入を行っています。

 以下のグラフは、中国における大豆の国別輸入量を示しています。

図:中国における大豆の国別輸入量(2005年1月から2019年3月) 

単位:百万トン
出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 中国にとって、米国とブラジルが主要な大豆輸入元です。米中貿易戦争が激化し、中国が米国産大豆の輸入関税引き上げを決定するまでは、毎年、米国からの大豆輸入が12月ごろに、ブラジルからの輸入が6月ごろにピークを迎えました。季節が逆の北半球の米国と南半球のブラジルから一年を通じて輸入ができる体制をとっていたためです。

 2018年12月の米国産大豆の輸入量が激減したのは、まさに米中貿易戦争の影響と言えます。2018年も例年であれば400万トンを超える輸入が見込まれましたが、2018年12月は10万トン超となりました。

 この減少に対して、中国は、米国やブラジルに次ぐ輸入元であるカナダやロシア、アルゼンチンからの輸入量を増加させました。また、6月が毎年ブラジルからの輸入のピークを迎えるため、目先、中国の大豆輸入量の合計は持ち直す可能性があります。

図:中国の大豆輸入量(2005年1月~2019年3月) 

単位:百万トン
出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 

 原油は関税引き上げの対象ではありませんが、“輸入額を減らす(不買を行う)”ことで米国の利益を減少させることができます。原油は季節によって生産量が変化する大豆と異なり、ほぼ1年中、生産が可能です。

 以下のグラフは、中国の原油輸入元別の輸入量の増減を示したものです。米中貿易戦争が激化しはじめた2018年5月と2019年3月を比べています。

図:中国の原油輸入元別の輸入量の増減(2019年3月~2018年5月) 

単位:千トン
出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 米国からの原油輸入量はおよそ186万トン減少、一方、サウジからはおよそ218万トン増加しています。全体としては30万トン増加となっており、米国産原油の“不買”を行いながら、代替先から輸入量を増加させていることがわかります。

 以下は、中国の原油輸入量の合計の推移です。

図:中国の原油輸入量(2005年1月~2019年3月) 

単位:百万トン
出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 米中貿易戦争で、両国の経済成長が鈍化する懸念が高まっていますが、中国の原油輸入量はこれまでと変わらず、堅調に増え続けていることがわかります。

 中国にとって、大豆は中国国内の食肉需要をまかなうためにも、家畜のエサとなる大豆の安定供給は必須です。原油年々、消費が増加しているため輸入し続けなくてはなりません。

 米中貿易戦争において、中国は全体的な不利さを不買で対抗する中、代替先を見つけ、したたかに戦っていると言えます。