人生100年時代――寿命が伸びることは喜ばしい一方、年々減額される見込みの年金だけでは生きることがほぼできない時代となってきた。これはつまり、生き抜くための「資金の自助努力」が重要であることを意味する。

 そこで、『定年後のお金』『老後難民』『逆算の資産準備』ほか多数の著書などで、老後生活の資金準備の重要性や方策について提言するフィデリティ退職・投資教育研究所所長の野尻哲史さんに、死ぬまでお金を枯渇させない「延金術」を、前・後編で解説してもらう。「延金術」とは、老後資「金」をできるだけ「延」命させる「術(すべ)」である。

 前編では、老後資金の算出方法を中心に聞いた。

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■人生100年時代に備える・野尻哲史さんインタビュー

1:投資は「遠い」と安易に考えてはいけない理由[前編]

2:投資は「遠い」と安易に考えてはいけない理由[後編]

■老後資金の延命術は?野尻哲史さんに聞く

3:「老後難民」にならないための延金術[前編]

4:「老後難民」にならないための延金術[後編]

85歳くらいで十分?実はリアルな人生100年

 いま「人生100年時代」という言葉が普通に受け取られ始めています。また、60歳定年後の継続雇用を国が企業に働きかけ、人手不足の雇用状況も反映して、60歳以降も働き続けることが当たり前の世の中になりつつあります。

 そして、最近のデータを見ると5人に1人の男性が約92歳、女性は約96歳まで、それぞれ生きる見込みです(※1)。

※1 厚生労働省「平成28年簡易生命表」よりフィデリティ退職・投資教育研究所の算出データ

 しかし、フィデリティ退職・投資教育研究所が50~60代に実施したアンケートでは約7割の方が84歳までの人生を想定していました。なんとなく自分は85歳くらいの寿命だろう、退職後25年くらいの人生だろうと安易に考えがちですが、現実には「人生100年」を生きる可能性がある。このことは、退職後の生活が35年にも及ぶことを意味し、多くの人が考える寿命と10年以上もギャップがあります。85歳以降の生活を想定せず、いちばん身体が衰える時期にお金がなくなるという悲惨な状態になりかねないのです。

 こうした老後生活の資金準備のため、よく言われるのが「長期・積立・分散」という投資の基本。これはお金を育てる時間が長い若年層には有効ですが、50代以降の人に当てはめることは難しいものです。

 そこで、老後生活を破綻させないために、必要資金をどう算出し、どう管理していくべきか、どんな人にも計画を立てられる方法を紹介したいと思います。