米国が5月10日付で中国製品への制裁関税を10%から25%に引き上げたことで、中国が6月1日付の報復関税適用を宣言。これに対し、米国は13日に追加関税案を公表して応戦し、米中貿易戦争は新しい段階に入った。

 6月28~29日に大阪で開催されるG20(先進20カ国・地域)首脳会議に合わせてトランプ米大統領と習近平中国国家主席の会談がセットされる見込みで、今後も両大国による駆け引きが続きそうだ。一方、対中交渉をリードして支持率を高めるトランプ氏。「弱点」への対処が首尾よく進めば、対中攻勢を一段と強めていくことになりそうだ。

13日のダウ急落で口先介入?トランプ大統領「非常にうまくいく気がする」

 5月14日朝の東京市場は全面安でスタート。日経平均株価は前日比439円83銭安の2万715円45銭まで急落したが、その後は同日午前の取引終了までに底値から最大300円超の急速な下げ幅縮小を見せた。米中貿易摩擦激化となれば高確率で値下がりする村田製作所(6981)信越化学工業(4063)コマツ(6301)などの大型銘柄が朝方のマイナス圏から次々とプラス圏に浮上していった。

 底値で買いを呼んだ材料はトランプ氏の発言。ホワイトハウスで13日開催された夕食会で、米中通商協議について「成功だったかどうか3~4週間で明らかにする」「非常にうまくいく気がする」と述べたことが通信社電として伝わった。市場参加者は半信半疑ながら、トランプ氏の発言を米中摩擦が早期解決に向かうサインと受け止めたのだ。