前日(8月25日)の市況

ドル/円:具体的な金融政策の言及はなく、急落

世界のトレーダーの注目を集めたジャクソンホール。

イエレンFRB(連邦準備制度理事会)議長は期待ほどタカ派的ではなく、ドラギ総裁も思ったよりもハト派的ではありませんでした。そしてドル/円は急落。ユーロ/ドルは急上昇しました。この日のドル/円は先走り的に買われ、イエレン議長の講演が始まる前に、週の高値となる109.83円まで上昇。しかし、というべきか、やはりというべきか、イエレンFRB議長の講演では、米国の金融政策についての具体的な言及はなし。

期待から失望に切り替わったマーケットは、講演中からドルを売り始め、ドル/円は109.11円まで大きく下落。ただし下値も堅く、それまで5営業日続いていた108円台突入は回避。終値は109.319円(前日比-0.218円)でした。トランプ大統領が今週、税制改革について発言すると伝わったこともドル下落に歯止めをかけたようです。(チャート1)

 

ユーロ/ドル:急騰して年初来高値を更新 

ドラギ総裁もまた、具体的なECB(欧州中央銀行)の政策を語ることはありませんでした。ところが、ユーロ/ドルは急騰して年初来高値を更新。ドラギ総裁が何も言わなかったことが、逆に出口戦略の開始の容認と解釈されたのです。さらに、ECB議事録の指摘事項だったユーロ高に対する牽制発言もなかったことが、ユーロ買いのOKサインになりました。

ユーロ/ドルは1.1773ドルを当日安値に、2015年1月以来の高値となる1.1939ドルまで急上昇。(チャート2)またユーロ/円は、ユーロ高に連れて8月16日以来となる130円台に再上陸。130.42円まで値を伸ばしました。(チャート3)

ジャクソンホールになかったもの。
それは「イエレン議長の強気」と、「ドラギ総裁の弱気」でした。