2019年、経験則は当てはまる?

 2018年夏場から激化してきた米中貿易摩擦、2018年11月頃から急速に悪化した中国景気と世界の株式市場の下落、悪化が止まらない欧州景気、これらの影響により、これまで順調に拡大してきた世界経済も減速してきています。

 また、12月にはFRB(米連邦準備制度理事会)がハト派姿勢に転換し、ECB(欧州中央銀行)もハト派姿勢に転じました。しかし、世界景気の後退と金融政策の転換は、過去に見られたような、時代の転換点を象徴するような重大事件によって起こっている出来事ではありません。

  3月に入ると、米国や中国の経済指標で改善を示す数字が出てきており、株も反発してきています。米中通商協議の合意への期待も高まってきています。このような状況をみると、2019年は不吉な経験則が当てはまらないのではないか、あるいは当てはまっても下落率は小さいのではないかと思わせる状況となっています。

 最近のドル/円の動きをみていますと、1日の値幅が小さく、動意の乏しい日が続いています。ひょっとしたら、ドル/円はこの不吉な経験則を見極めようとしているのでしょうか。見極めるまでは動かないつもりなのでしょうか。

 確かに最近の相場材料を見ていると、中途半端な材料が多く、相場を方向付ける力に欠けています。米中通商協議も期待を匂わせる言葉は飛び交っていますが、進展スピードは鈍い状況となっています。Brexit(ブレグジット:英国のEU[欧州連合]離脱)も先延ばし先延ばしで、マーケットの不安材料には今のところなっていない状況です。トランプ米大統領の量的緩和にまで踏み込んだFRBへの圧力も、マーケットは冷静に見ている状況です。

 いずれの要因も、マーケットを大きく動かす要因としては中途半端な材料ばかりであり、そのような中で発表された先週の米雇用統計も、強弱まちまちの数字となったため、ますます動きづらい環境となっています。

 日経平均株価の3月終値(2万1,205円81銭)から10%下落すると、1万9,085円になります。ここまで下落しなくても、1月から3月の上昇幅を帳消しにする下落によって、ドル/円は動意づいてくるかもしれません。2018年の日経平均の終値は2万14円77銭です。従って2万円を割れるような環境変化が起こるのかどうかに注目です。この不吉な経験則が当てはまらないことを祈りますが、今後も頭に入れておいておきたい経験則です