世界景気悪化を織り込む局面はいつまで続くか?

 以下に再び、2018年以降の日経平均の週足を掲載します。今度は、日経平均の上値を抑えてきた要因を、チャートの中に書き込んでいます。

日経平均週足:2018年1月4日~2019年3月29日

出所:楽天経済研究所作成

 2018年は、「世界まるごと好景気」の状態から始まりました。景気、企業業績が好調であることが、日経平均および世界の株価にとって強材料となっていました。一方、米金利上昇と、貿易戦争が激化する不安が、世界的に株の上値を抑えていました。2018年1-3月は、米長期金利が3%に近づいたことを嫌気して、NYダウが急落。ツレて世界的に株が下がりました。貿易戦争激化の不安がそれに追い打ちをかけました。

 2018年4-9月は、2つの不安が緩和する中で、世界的に株が上昇しました。

 ところが、10月から、再び世界的に株が下がり、日経平均も急落しました。この時も、米長期金利の上昇が株売りのきっかけとなりました。さらに12月に、日経平均は一段安となりました。長期金利は低下しましたが、代わって、世界景気の悪化が不安材料として、クローズアップされました。貿易戦争はエスカレートし、米中のハイテク覇権争いに発展していました。

 2019年に入ってからは、米国はじめ世界の中央銀行がハト派に転じた効果で、世界的に株が反発しています。米中通商協議が何らかの「落としどころ」に向かう期待も、株高を支えていました。ただし、世界景気悪化の不安、貿易戦争、ハイテク戦争がエスカレートする不安は払拭されておらず、あいかわらず、日経平均の上値を抑えている状態です。