日経平均は2万1,000円の攻防
先週の日経平均株価は、1週間で422円下がり、2万1,205円となりました。世界景気悪化の不安が強まったことから世界的に株が売られ、日経平均も下がりました。
日経平均週足:2018年1月4日~2019年3月29日
世界的な景気減速を受け、FRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)、中国人民銀行など、世界の中央銀行がこぞってハト派(金融引き締めに消極的、緩和に積極的)に転じてきていることが、年初からの世界的な株高をささえてきました。
ところが、先週は、金利低下が株の売り材料となりました。米国で長期(10年)金利が一段と低下し、短期(3カ月)金利を下回りました。長短金利逆転が、経験則から「景気後退の前触れ」と捉えられていることから、株売りにつながりました。
ドル長期(10年)金利と短期(3カ月)金利推移:2018年1月2日~2019年3月26日
日経平均は2万1,000円の攻防となっています。2万1,000円は、2018年には下値支持線として機能していました。ところが、日経平均が年初に一時1万9,000円割れまで急落すると、2万1,000円は上値抵抗線として、意識されるようになりました。今年の1~2月には、リバウンドしてきた日経平均が2万1,000円に近づくと、打ち返されていました。
3月に入ってから、日経平均は2万1,000円を挟んだ攻防戦となっています。
世界景気悪化を織り込む局面はいつまで続くか?
以下に再び、2018年以降の日経平均の週足を掲載します。今度は、日経平均の上値を抑えてきた要因を、チャートの中に書き込んでいます。
日経平均週足:2018年1月4日~2019年3月29日
2018年は、「世界まるごと好景気」の状態から始まりました。景気、企業業績が好調であることが、日経平均および世界の株価にとって強材料となっていました。一方、米金利上昇と、貿易戦争が激化する不安が、世界的に株の上値を抑えていました。2018年1-3月は、米長期金利が3%に近づいたことを嫌気して、NYダウが急落。ツレて世界的に株が下がりました。貿易戦争激化の不安がそれに追い打ちをかけました。
2018年4-9月は、2つの不安が緩和する中で、世界的に株が上昇しました。
ところが、10月から、再び世界的に株が下がり、日経平均も急落しました。この時も、米長期金利の上昇が株売りのきっかけとなりました。さらに12月に、日経平均は一段安となりました。長期金利は低下しましたが、代わって、世界景気の悪化が不安材料として、クローズアップされました。貿易戦争はエスカレートし、米中のハイテク覇権争いに発展していました。
2019年に入ってからは、米国はじめ世界の中央銀行がハト派に転じた効果で、世界的に株が反発しています。米中通商協議が何らかの「落としどころ」に向かう期待も、株高を支えていました。ただし、世界景気悪化の不安、貿易戦争、ハイテク戦争がエスカレートする不安は払拭されておらず、あいかわらず、日経平均の上値を抑えている状態です。
今が2019年の世界景気悪化を織り込む最終局面との見方を継続
結論は、私が本欄で毎週書いていることと、同じです。私は、今が2019年の世界および日本の景気悪化を織り込む最終局面と考えています。私は、米中貿易戦争がいったん休戦になることを前提に、2020年に世界景気は回復すると予想しています。19年の景気悪化が織り込み済みとなれば、その後、年末にかけて日経平均は上昇トレンドに入ると見ています。年末の日経平均の予想は、2万3,000~2万5,000円です。
ただし、現時点ではまだ、19年の悪化は完全に織り込み済みとは言えません。今まさに、世界景気が悪化していることを示す指標の発表がどんどん増えています。これから、景気が悪いという話は、さらに増えるでしょう。目先、円高・株安が復活する可能性もありますが、下がったところは、長期投資で日本株の良い買い場になると考えています。
なお、今日の午前11時30分に、新元号が発表されます。これから始まる新しい時代に、どういう名がつけられるのか、発表が楽しみです。
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