前日(8月23日)の市況
ドル/円:トランプ大統領の放言が、ドルの上値を重くした
この日のドル/円は、トランプ政権が税制改革へ向けて前進するとの期待から、109.82円まで前日の高値を更新。ところがその後は徐々に値を下げ、NY市場終盤にかけて108.89円まで売り戻されました。終値は109.02円。結果としてドル買いは続かず、一昨日からの上昇分をほぼ消してしまいました。(チャート1)
トランプ大統領が、「メキシコ国境の壁建設の予算を確保するためには、(債務上限の引き上げができずに)政府機関が閉鎖してもかまわない」と放言したことがドルの上値を重くしました。
ユーロ、ポンド:ユーロが優位
ドル買い優勢のマーケットで、下げが目立っていたユーロ/ドルは、この日は反発。欧州時間に1.1739ドルまで下げて前日の安値を更新しましたが、その後1.1823ドルまで急上昇しました。(チャート2)きっかけは、ドラギECB(欧州中央銀行)総裁が「金融政策は新たな取り組みに対して常に準備すべきだ」と発言したこと。近い将来にECBが出口戦略を始めるとの期待が高まりました。この日に発表されたユーロ圏のPMI(購買担当者指数)もおおむね堅調で、欧州経済は本格的な景気回復サイクルに入ったとの見方が強まっています。
NZドル:大幅下落
前日の東京市場でNZドルが大幅下落。ドルの買戻しとキャリートレードの巻き戻しが背景。NZ財務省が、2017、2018年度の経済成長率の見通しを下方修正したことも売りを加速させました。NZドルは、対円78.54円まで売られて6月7日以来の安値を更新。(チャート4)
また豪ドルに対しても下げが目立ち、AUD/NZDは、3月31日以来の水準まで急上昇(豪ドル高/NZドル安)しています。(チャート5)
今日の予定
今日は、英国の4-6月期GDP改定値(国内総生産)の発表があります。英国では、労働賃金の伸び悩みが消費活動にブレーキとなっていること、またブレグジットの影響で、英国への投資意欲が徐々に後退。英国の成長率は縮小に向うとの懸念があります。約8年ぶりの安値水準にあるユーロ/ポンドの動きにも注意です。また明日の朝は、日本の7月CPI(消費者物価指数)が発表されます。全国CPIの予想は前年同月比0.4%と、前月と同じ。生鮮食料品を除くコアCPIは0.5%へ上向く予想です。
今日のサポートとレジスタンス
サポート、レジスタンスとは、テクニカル分析で用いられる用語です。サポートラインは、前回下げたときの安値で、そのレベルで反発したことから「下値支持線」、レジスタンスラインは、前回上昇したときの高値で、そのレベルで反転したので「上値抵抗線」とも呼ばれます。必ずしもこの水準で反発、反転するわけではありません。これらの水準でレートが押し戻されるのか、それとも超えていくのかを見極めることがポイントになります。