20日に発表されたFOMC結果は、ハト派サプライズだった
22日にNYダウが急落し、ドル安(円高)が進んだのは、20日に発表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、パウエルFRB議長が市場予想以上にハト派になっていたサプライズ(驚き)によるものです。3つの点でハト派色が鮮明になりました。
【1】年内に利上げなしを示唆
FOMCメンバーの予測(中央値)では、今年は、利上げがゼロでした。昨年12月のFOMCの予測(中央値)では、2019年に2回の追加利上げが予想されていました。今回は、中国・欧州を始め、世界的に景気減速が鮮明となったことを受け、一気にゼロに下がりました。市場予想では、「年内にあと1回だけ利上げ」という見通しが示されるはずでしたから、予想以上にハト派色を出しました。
【2】FRBの資産縮小(量的な金融引き締め)を9月までで終了すると正式に発表
事前の市場予想通りです。量的な引き締めは、終了に向かいます。
【3】一部に利下げの思惑生む
FRBの要人発言から、年内に利下げもあり得るとの見方も出ています。金利先物に織り込まれている年内利下げの確率は、約30%となっています。
ドル安(円高)・株安につながったハト派サプライズ
ハト派サプライズだったFOMC結果を、20~21日の米国株式市場では消化不足のままでした。「株式市場に優しいFRB」に安堵する一方、「それだけ世界景気の悪化が進んでいる」と警戒感も出ました。22日には、世界景気に加え、米国景気も悪化する不安が出て、米国株安、米ドル安(円高)が進みました。
今週の日経平均は、これを嫌気して、2万1,000円前後まで下がる可能性があります。米FRBが利上げ停止だけでなく、利下げも視野に入れてくると、日銀に追加緩和の余地がないことから、円高が進みやすい環境となります。