労働者不足が深刻に
今、米国各地では労働者不足が深刻化しているとの報告が次々と上がっています。
リッチモンド地区連銀によると、募集条件の必要経験年数を短縮したり、技能水準を引き下げたりする企業が増えているそうです。またロサンゼルスやボストンで刑務所の出所予定者を見習いとして採用したり、アトランタでは前歴のある人の採用を拡大したりする会社もあります。あのアマゾンでさえ「履歴書、面接不要」の求人広告を出すほど、どこも人手を確保しようと必死の状況です。
では賃金はどうかというと、平均労働賃金の予想は前月比+0.3%、前年+3.3%と堅調ですが、深刻な人手不足のわりには目立つほどの勢いはありません。ただこれについては、BLS(米労働省労働統計局。雇用統計を発表する機関)の計算方法では、平均労働賃金が実際より低めに出るとの分析もあります。別の計算では5%上昇という結果も出ているそうです。
FRBは意外に早く利上げ再開?
もしそうならば、なぜ米国で物価が上昇しないのか?という疑問が湧きます。それに対してパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の答えは、今は「辛抱強く待つ」時期。(条件はそろっているのだから)「近くインフレ率は目標の2%に到達するだろう」ということです。
人手不足の現状を見ると、インフレ率の目標達成は意外に早いかもしれません。FRBは今年利上げしないと、マーケットは考えていますが、これを早くも修正する必要が出てくるかもしれません。ダドリー前NY連銀総裁は、FRBは今年後半に利上げを再開するだろうとの見解を示しています。