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 中国景気の減速や米国との貿易摩擦が続くなか、注目される『全人代』が本日(3月5日)、幕を開けます。『全人代』とは、“全国人民代表大会”の略称で、中国における国会に相当します。開催は年に1度で、地方の代表らがその年の政府の施政方針を示す政府活動報告や予算案などを審議し、承認します。今年の『全人代』では、中国政府がどのような景気刺激策や通商問題対策を打ち出すかが焦点です。

 

【ポイント1】『全人代』は本日から15日まで開催

全国人民政治協商会議では減税策などが議題に

 中国景気の減速や米中貿易摩擦が懸念されるなか、注目される『全人代』が3月5日に始まります。『全人代』は、李克強首相による政府活動報告で始まり、2019年の経済成長率や財政収支、インフレ、マネーサプライの目標などが発表される予定です。その後さまざまな議題が審議・承認され、3月15日まで11日間の日程で開催されます。最終日には、李首相による記者会見が行われる予定です。

『全人代』に先立ち、国政の助言機関である「全国人民政治協商会議」が3日から行われました。大手企業の経営者らも出席する、年に1度の同会議では、深刻な中国景気の減速を受けて、民間企業に対する大幅な減税策の早期実施に関する議題などが提起されました。『全人代』では、減税や消費刺激策などが議題になるとみられます。

 

【ポイント2】2019年の成長率目標は6.0~6.5%を予想

 2018年の中国の経済成長率は6.6%と政府目標を上回りましたが、10-12月期は前年同期比6.4%に減速し、年明け以降も各種経済指標が悪化していることから、2019年1-3月期も景気減速が続くとみられます。

『全人代』で設定される2019年の経済成長率目標について、弊社は、前年の6.5%前後から6.0~6.5%に引き下げられると予想しています。また、景気対策については、財政政策の強化(減税+インフラ投資)、金融政策は対象を絞った形での緩和強化を打ち出すとみています。

 

【今後の展開】中国政府がどのような経済運営方針を示すかが焦点

 中国政府は、昨年の『全人代』では、一定の景気の減速を容認しても、債務削減に取り組む方針を示していました。しかし、債務削減に伴うマイナスの影響に加え、米国との貿易摩擦が追い打ちをかけ、足元の景気が急減速していることで、スタンスを変更するとみられます。今年の『全人代』では、景気減速と米国との貿易摩擦をめぐる交渉が続くなか、経済のテコ入れに向けた景気刺激策と共に、通商分野における米国との貿易摩擦への対応策など、中国政府がどのような経済運営の方針を示すのかが焦点です。