ポンド/円:大きく上昇

 ポンドは上昇。ポンド/ドルは1.31ドルの壁をブレークして弾みがつき、26日の東京時間早朝には1.3133ドルまで上値を伸ばしています。ポンド/円は、NY時間に145円ちょうど近辺から145円後半まで上昇。26日朝にはさらに145.83円まで上値を伸ばして年初来高値をつけました。

 英国は(今のところ)3月末にEU(欧州連合)を離脱する予定。

 メイ首相は今週27日、英下院で離脱協定案を採決する予定でしたが、EU側との再交渉が難航している模様で、採決を3月12日まで延期するとの報道が伝わっています。ただし英下院はリスボン条約第50条発動の延期、すなわちEU離脱日の延期のための修正案を予定通り審議する予定。EU側は離脱日延期を容認する姿勢で、一部には2021年まで伸ばしてもいいという意見さえでています。

 今の泥沼状態のまま3月末を迎え、英国がノーディール・ブレグジット、何の取決めもないままEUを出ていくことになれば、英国経済には悲惨な将来が待ち受けているわけで、マーケットの考え方としては離脱日延期は良いこと、だからポンド買いになります。

 ホンダや日産は、英国での自動車生産の中止を発表しました。日本とEUは、EPA(経済連携協定)交渉でEUの10%の乗用車関税を7年間で撤廃することに合意したのですが、英国がEUを離脱すると、英国からの輸出に関税が課せられる可能性が出てきます。そこで日本の自動車メーカーは。英国ではなく日本から輸出を増やしたほうが有利との判断になったわけです。

 ところが、メイ首相には延期を受け入れたくない事情があるのです。メイ首相にとっては「ノーディール・ブレグジット」が最大の武器だからです。

「わたしの案に賛成しないと、ノーディール・ブレグジットになっちゃうわよ。あなた、その責任とれるの?」と反対議員に圧力をかけて説得工作をしているメイ首相がこれを失ってしまえば、離脱協定案が議会を通る見込みはほとんどなくなります。(かといって別のプランがあるわけでもないのですが。)

 八方ふさがりの状況に嫌気して、労働党や保守党から議員が離党して第3の政党である「独立グループ」のもとに集まる動きが出ています。労働党は、政党崩壊の危機とさえいわれています。ブレグジット期限延期と同時に前倒し総選挙の可能性も高まっているわけで、英国の政治不安リスクも高まりそうです。

 ノーディール・ブレグジットが回避できる見込みになったらポンドは、短期的には上昇する可能性があります。しかし、その先は何も決まっておらず、中期的見通しは明るいとはいえません。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成
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◎天気の判定基準とは?

天気マークを見るだけで、ドル高で引けたのか、それともドル安で引けたか、ひと目で確認することができます。

・「晴れ」
当日の終値が、前日の終値に比べて0.20円を超えるドル高/円安だった場合は、「晴れ」の天気マークを表示します。

・「雨」
反対に、終値が0.20円を超えるドル安/円高だった場合は、「雨」の天気マークを表示します。

・「くもり」
終値が上下0.20円の範囲にあった場合は「曇り」のマークを表示します。


※天気マークは、前日の終値との比較を示したもので、今日のマーケットの方向を予想するものではありませんので、ご注意ください。

※ちなみに2018年は、「晴れ」80日、「雨」82日、「くもり」98日 でした。
​また、2018年は延べで43.33円上昇、延べで46.41円下落。差引3.08円の円高(2017年末に比べて)でした。