本日の注目通貨

ドル/円:ドル/円110円台で大人しく

 ドル/円は横ばい。方向感に乏しい狭い値幅の取引が続いています。この日のレンジは110.45円から110.82円。東京時間に黒田日銀総裁が「円高が経済に影響与えるなら、追加緩和を検討」と発言したことで一時的に円安に動く場面もありました。

 今夜のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録がドル/円を動かす材料になることを期待したいと思います。議事録の注目点のひとつはFRB(米連邦準備制度理事会)がバランスシートの縮小を終了するのか、ということです。ブレイナードFRB理事に続いてメスター・クリーブランド連銀総裁も賛成意見を述べているので既定路線と考えます。今後のFOMCで正式に発表されることになるでしょう。バランスシート縮小の終了は、米長期金利上昇の抑圧要因になると、一般的に考えられています。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

ポンド:ブレグジット期限延長でポンド買われる

 静かなドル/円相場を横目に、19日の海外市場ではブレグジットのニュースでポンドが大きく上昇しました。ポンド/ドルは1.2895ドルから1.3073ドルまで、ポンド/円は142.47円から144.70円まで急伸。終値ベースのポンド/円が1円超上昇するのは1月25日以来。

 上昇の引き金となったのは、欧州委員会のユンケル委員長が、3月末に迫るブレグジット期限日を延長することについて、「どの加盟国も反対しない」と肯定的な見解を述べたことです。英国が合意のないまま離脱する「ノーディール・ブレグジット」のリスクは格段に減ったことになります。

 ただ、離脱協定案の再交渉はしないと言明しているので、懸案となっているバックストップ問題に関して打開策が見つかる可能性は低いようです。仮にメイ首相とEU(欧州連合)が合意できて英議会も通ったとしても、そこから法改正など気の遠くなるような膨大な事務作業が待っているわけで、とても3月末には間に合わないだろうといわれています。EUにとっても英国の混乱は経済的大ダメージなので、期限延長を認めて英国に恩を売りつつ実利を取ろうということでしょう。

 ブレグジットは、(無期)延長になりそうですが、あとは3月末離脱にこだわるメイ首相やブレグジット強硬派がその選択肢を受け入れるかどうかです。

 ノーディール・ブレグジットのリスク低下でポンドは上昇しています。一方で前倒し総選挙という政治リスクも高まっています。あるいはこの不透明な状態が延々と続くこともありそうで、中期的にはポンドにとってマイナスだともいえます。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成
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