日米株価の勢いに差を生じる2つの要因
日米株価に差を生じているのは、主に2つの要因になります。
1.FRBが利上げ停止を宣言
1月30日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備制度理事会)は利上げ停止を宣言しました。さらに、量的な引き締めについても、パウエルFRB議長は「早期に終了するだろう」と示唆。12月のFOMCで、「2019年に2回の利上げが適切」としていた「タカ派」のイメージを捨て去り、株式市場にやさしい驚くばかりの「ハト派」に豹変しました。これで元気づいたのが、NYダウです。パウエル議長のタカ派発言で12月に急落したNYダウは、同議長のハト派宣言で急反発が続きました。
NYダウの反発は、日本株にも好影響を及ぼしました。ところが、日本株への影響はそれだけではありません。利上げ打ち止めでNYダウが上がったことは日本株にもプラスですが、円高圧力がかかりやすくなったことは、日本株にマイナスです。先週は、米利上げ打ち止めの思惑が広がり、一時円高(ドル安)が進みそれが、日本株の売り材料となりました。
ドル円為替レート日足:2018年10月1日~2019年2月1日
2月1日に発表された1月の米雇用統計が強かったため米景気減速の不安が緩和し、1日は1ドル109.48円まで円安(ドル高)に戻りました。しばらく、ドル円も上下とも大きくは動きにくい状況です。
2.米中貿易戦争・中国景気減速の影響
米中貿易戦争の影響で、中国景気の減速が鮮明となっています。米景気にも悪影響が及び始めていますが、受けるダメージは今のところ日本ほど大きくありません。
製造業への依存が大きい日本経済にはダメージが大きいものの、製造業の空洞化が進み製造業への依存が低い米経済にはダメージが相対的に小さくなっています。その差が、日米株価のパフォーマンスの差に表れています。
米国でも製造業には、貿易戦争のマイナス影響は及んでいます。米自動車大手フォード、建設機械大手キャタピラー、携帯電話大手アップルの10-12月期は、中国景気減速の影響で業績が悪化。一方、米IT大手は業績拡大が続いています。アマゾン、マイクロソフト、フェイスブックなど、世界のITインフラを支配しているIT大手が好業績を上げていることが、米国株の強さの背景にあります。