株価が大きく下落した2018年。「空売りしていれば利益を出せたのに…」と思いますよね。ただ、注意すべき点があります。今回は筆者にも多く質問がある「空売り」についてお伝えします。
株価が値下がりすれば利益になる「空売り」
「空売り」を簡単に説明すると、信用取引の1つで「信用売り」とも呼ばれます。証券会社から株を借りて売り、その株が値下がりしたところで買い戻して借りた株を返済すれば、差額が利益となる、という仕組みです。
確かに2018の2月や10月、12月に株価が大きく下落した際、空売りをしていれば利益を得ることができました。
仮に今後本格的な株価下落局面が訪れるとすれば、株価の値下がりが利益につながる空売りに注目が集まるのも理解できます。
空売りは短期間で利益を得られる可能性が高い
個人投資家でも中級者以上になると、「買い」よりも「空売り」の方が利益を得やすいという声もよく聞かれます。それは、一般的に株価が上昇するスピードよりも下落するスピードの方が速いからです。
実際、2012年末からのアベノミクス相場で株価が10倍、20倍と大きく上昇した成長株の多くが、2018年になり高値をつけ大きく下落しています。
その株価チャートをみると、上昇の角度とくらべて、下落の角度の方が急になっていることが分かります。
ただその一方、利益率という視点からみると、空売りは買いよりも圧倒的に劣るという点も注目すべきです。
買いよりも利益率は劣りリスクは無限大
空売りの場合、最高でも利益率は100%にしかなりません。100万円で空売りした株が倒産などで無価値になったとしても、利益は100万円です。
でも買いであれば、利益率は理論上無限大です。100万円で買った株が10倍の1,000万円となれば、利益は900万円となります。
リスクは上記の逆を考えれば分かりやすいでしょう。買いの場合の損失は最大でも投資した金額が限度です。100万円投資した株が倒産して無価値になれば、損失は100万円です。
しかし空売りの場合、損失は無限大に膨らみます。100万円で空売りした株が1,000万円になれば、900万円の損失となります。100万円の元手など簡単に吹き飛んでしまいます。
有名な相場格言に「買いは家まで、売りは命まで」というものがあります。信用買いで失敗したら家を失うほど損をする。でも信用売り(空売り)で失敗したら、家だけではすまず命までを差し出さなければいけなくなる、という戒めの言葉です。
正しいやり方を守らなければ、投資元本を大きく超える損失を被る危険が信用買いよりもはるかに高いのが空売りの怖さなのです。