前日(8月16日)の市況
ドル/円:111円台手前から110円割れ寸前まで大きく下落
FOMC(連邦公開市場委員会)の議事録の公表後にドルが急落しました。この日公開された7月25-26日開催分のFOMC議事録は、「大半のメンバーが、次回会合でバランスシートの縮小開始を支持」することを明らかにした一方で、「2%のインフレ目標達成が予想より遅れている」と指摘。FOMCが9月からバランスシートの縮小に着手することは前向きですが、これはマーケット参加者の多くが予想していたこと。むしろ、インフレ見通しが予想より後ろ向きだったことで、年内の再利上げの可能性が遠のいたとの失望感が強まりました。
この日のドル/円は、地政学リスクの後退で緩やかに上昇を続け、110円台なかばから欧州時間の朝には110.94円まで上昇。しかし、FOMC議事録後にドル売りが強まると、110.03円まで急落してこの日の安値をつけました。終値は、110.18円(前日比-0.484円)。
この日発表された7月の米小売売上高は、前月の落ち込みから反発。米国の消費の回復を期待させる結果となったことも追い風になりました。その後も110円台で強さを保ち、終値は110.665円(前日比+1.012円)。
ユーロ/ドル:欧州時間に急落
ユーロ/ドルは、欧州時間に急落しましたが、これは「ドラギECB(欧州中央銀行)総裁はジャクソンホールでは新たな金融政策に関する発言はしない」と、大手通信社が伝えたことが理由です。
ドラギ総裁は来週25日に、米国のワイオミング州ジャクソンホールで開かれる年次シンポジウムで講演を行う予定ですが、そのときにECBの出口戦略について方針を示すだろうとの期待がマーケットで高まっていました。ユーロ/ドルは1.1758ドルを高値に、1.1691ドルまで大きく下落。しかし、FOMC後は1.1778ドルまで急速に値を戻しました。
ポンド:ポンド/ドルは反発
この日発表された7月の英国の失業率が4.4%に下がり、1975年以来の水準まで改善したことが好感されて、1.2841ドルから1.2902ドルまで買われました。ポンド/ドルは、火曜日(15日)には、英国の7月のCPI(消費者物価指数)が伸び悩んだことを理由に、約1カ月ぶりとなる1.28ドル台に下げていました。