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 英国は2016年6月の国民投票で、欧州連合(EU)からの離脱(『Brexit』)を選択し、現在離脱交渉を進めています。昨年11月には、EUとの間で離脱協定案を合意しましたが、今月15日に英国議会はこれを大差で否決しました。21日には代替案が示されるも具体策に欠き、議会では早々に反発の声が上がっています。3月29日に『Brexit』の期日が迫る中、「合意なき離脱」は避けられるのか、未だ先行きは不透明です。

 

【ポイント1】離脱協定案は英国議会で230票差の大差で否決

離脱協定案の採決翌日の内閣不信任案は辛くも否決

 英国は今年3月29日に『Brexit』を予定しています。昨年11月、英国はEUとの間で離脱協定案を合意しましたが、離脱へ向けた動きは英国内で停滞しています。この離脱協定案は、当初12月にも英国議会での採決が見込まれていましたが、否決の可能性が高まったことから、1月15日に採決が延期されました。

 議会採決は、延期されてもなお否決の可能性が高いと見られてはいましたが、賛成202票、反対432票と、事前予想を超える230票の大差で否決されました。さらにこの翌日には、離脱協定案の否決にとどまらず内閣不信任案が審議されましたが、民主統一党のメイ政権への支持により、わずか19票の僅差で否決されました。

 

【ポイント2】メイ首相の離脱協定案の代替案は具体策を欠く

議会では根本的な変化がないと早速不満の声が上がる

 離脱協定案を巡っては、陸続きとなっている英領北アイルランドとアイルランドの間に、厳重に管理された国境を設けることを回避する安全策(バックストップ)が争点の一つとなっています。議会採決の否決の後、21日にはメイ首相が英国議会で代替案を表明しましたが、バックストップの変更をEUに求める方針を示したものの、その具体策は示されませんでした。

 メイ首相が表明した代替案は、1月29日に採決されることとなっています。しかし、既にこの代替案に対しては、15日に大差で否決された案から大きく変わっていないとの不満の声も聞かれます。

 

【今後の展開】修正案可決の道は険しく、当面不透明な展開が続く

 メイ首相は、バックストップに関してEUから譲歩が得られるならば、保守党内の強硬派や民主統一党の支持により代替案を可決できると見込んでいると見られます。しかし、EUは離脱協定案の再交渉には応じない姿勢を明らかにしており、修正案が英国議会で可決されたとしても、EUとの協議は難航すると考えられます。メイ首相は、自身の案に不満を持つ議員からの修正案提出を容認する姿勢を示しており、29日の採決では『Brexit』の延期を含めた修正案が出される見込みです。再国民投票の実施や離脱日の延期に否定的なメイ首相に対し、議会での意見分裂は深刻で、当面は不透明な展開が続きそうです。