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 トランプ氏が、アメリカ合衆国の第45代大統領に就任してから2年が経過しようとしています。この間の大統領支持率は概ね30%台半ばから40%台半ばと、過去の大統領と比べて水準は低いながらも安定した動きになっています。少数ながら熱心な支持者が存在するためです。トランプ大統領が打ち出す政策も、これら支持者を尊重する内容となっています。今回は、トランプ大統領の任期前半の『成果と課題』を見ていくことにします。

 

【ポイント1】大統領選の公約のうち、これまでに達成したのは17%

達成できなかったのは18%

 政治にかかわる発言や声明の信頼性を事実検証(ファクトチェック)する米国のウェブサイトPolitiFactによれば、102にのぼるトランプ大統領の選挙公約の達成度は、“履行”が17(全体の17%)、“不履行”が18(同18%)、“妥協”が11(同11%)、“取組中”が28(同27%)、“協議不調”が28(同27%)でした(1月16日現在のTrump-O-Meterによる)。

 

【ポイント2】連邦政府規制の緩和等が任期前半の成果のひとつ

国境の壁建設や、オバマケアの撤廃等で協議不調に陥る

 トランプ大統領の選挙公約のうち“履行”と評価された政策は、連邦政府規制の緩和、友好国に対する共同防衛費用増大の要請、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱、”妥協“と評価された政策は、幼少期に親に連れられ米国に入国した不法移民の若者の在留を認める暫定救済措置「DACA」の延長等です。大統領自身は「DACA」の存続に反対でしたが、裁判所が撤廃を認めなかったため、存続することになりました。そのほか、成立に向けて”取組中“の政策は、不法移民の防止と犯罪を行った外国人の国外追放、陸海軍の増強等です。

 一方、民主党の反対が強く、“協議不調”に陥っている政策として、オバマケア(医療保険制度改革)の撤廃、総額5,500億ドルのインフラ整備計画、メキシコとの国境に壁の建設、出生地主義(出生した国の国籍が付与される方式)の廃止等が挙げられています。

 国境の壁建設計画については、トランプ大統領が建設費用50億ドルの要求を取り下げず、2019年度(18年10月~19年9月)暫定予算が成立しなかったため、18年12月22日に連邦政府機関の一部閉鎖という事態に追い込まれました。

 

【今後の展開】政府債務上限引き上げが、次回大統領選挙に向けた課題のひとつ

 下院を制する民主党に妥協という選択肢はなく、問題解決はトランプ大統領の意向次第と考えられます。ただし、19年度予算は75%が成立しているため、政府機関閉鎖の影響は限定的と見られます。

 次回大統領選に向けた課題として、まず3月1日が期限の政府債務上限引き上げ問題が挙げられます。もっとも、この問題でトランプ大統領が争ったことはなく、最終的には引き上げが実現すると予想されます。