ほぼ全面安商状だった大発会

「大発会の立会いはその年を表す」…昔から株式市場では意識されていることです。論理的に実証するのは難しいものの、新年最初の取引において投資家の意識が強く反映されることには一理あると捉えてもよさそうです。

 そうなると2019年1月4日(金)大発会の立会いの詳細は一層重要となり、頭に入れておく必要があります。そこで、今回は大発会の動きを読み解き「その年に飛躍するかもしれない銘柄(とセクター)」を炙り出し、10万円株を絞り込んでいきます。

 大発会の日経平均は「452円81銭安」と大幅続落となりました。ただ、安値からは約300円下げ渋りました。海外市場で1月2日から始まっていたドル/円相場で一時104円台を付けるなど急激に円高が進行したこと、さらに米アップル社が業績予想を下方修正したことを受け、主に外需株が売られやすい状況だったことにも留意する必要があります。

 米アップル社は1月2日、2018年10-12月期(第1四半期)の売上高見通しを、従来予想の890億~930億ドルに引き下げました。中央値から約8%も少ない額に引き下げた(同社は「米中貿易摩擦の影響」と説明)のですから、日本株にとってのネガティブインパクトは相当なものでした。東証1部上場銘柄(2,129銘柄)のうち1,475銘柄が値下がりとなるほぼ全面安商状になりました。ここからは今年の相場は厳しいものになりそうとの印象を受けますが…。

 ただ、日経平均採用銘柄においては、「食品株」「小売株」「金融株」「電鉄株」「通信株」「電力株」にはプラスとなるものが目立ちました。主力株では「ソフトバンク(9434)」が3%高となりました。昨年12月19日に上場時に公開価格を割り込む初値となるなど、市場の悪役とされた同株が気を吐いたのです。

 このほか昨年10月以降に急動意を見せた「NEC(6701)」が1.5%高となったことも目を引きました。

 さらに驚いたのはマザーズ指数が1.8%高となったことです。マザーズ指数寄与度が高い「メルカリ(4385)」、「ミクシィ(2121)」もプラス引けとなり、意外なところでは創薬ベンチャー株がほぼ一斉高になりました。

 大発会の物色動向からは、投資資金が懸念材料「米中貿易摩擦」に関わる銘柄を避けるように流れている様子が見て取れます。そこから遠い印象があるもの(内需株、新興市場株全般、創薬ベンチャー株など)を柱として、戻り売りが少ない印象がある銘柄(=高値圏にある銘柄)に広がっているように見えます。

 これらを勘案して「10万円株」を5銘柄選別してみました。