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日本経済は現在、長期の景気拡張局面にあり、2018年12月には戦後最長である「いざなみ景気」に並ぶ見通しです。介護や飲食などのサービス関連や、建設関連、自動車運転などの輸送関連などで人手不足が顕著なことに加え、今後は少子・高齢化の影響により15歳~64歳の労働力人口は減少が加速すると見られます。政府は『働き方改革』などの労働市場改革を推進しており、今後も生産性の向上が急務と考えられます。
【ポイント1】『働き方改革』の推進は急務
今年は関連法案が成立
現状の日本での労働状況を見ると、労働時間が長いことや雇用形態による格差などが問題視されています。これに対し、政府は、成長戦略である「未来投資戦略2018」で、女性活躍の更なる拡大や高齢者・障害者等の就労促進などの「人材の最適活用に向けた労働市場改革」を掲げています。
今夏には、政府が今年の通常国会の最重要法案と位置づけた『働き方改革』関連法が可決・成立しました。これは、残業の削減を推進する「残業規制」、雇用形態にかかわらず同じ業務・成果には賃金を平等にすることで非正規労働者の待遇改善などを図る「同一労働同一賃金」、一部専門職など高所得者を労働時間規制から外して成果で評価するといった「脱時間給制度」の3つが柱となっています。
また、こうした『働き方改革』に加えて、人手不足や将来の労働力人口の確保のため、外国人労働者の受け入れを大幅に拡大する「出入国管理法」を一部改正する法案も12月に成立しました。
【ポイント2】働き方改革の様々な取り組み
すでに、多くの企業で様々な取り組みが始められている
『働き方改革』関連法の施行は来年4月ですが、既に多くの企業で様々な取り組みが始められています。例えば、残業時間の削減については、ある一定時刻以上は残業できない制度を設けるほか、退社時間の目標を机上に掲げることで、個々人が時間への意識を高めると同時に、周囲の退社時間にも気を配ることでチーム全体での残業時間を意識する取り組みがあります。また、テレワークやサテライトオフィスを活用することで通勤時間を削減させる取り組みなども行われています。
【今後の展開】労働生産性の向上で、ひいてはクオリティ・オブ・ライフの充実へ
日本生産性本部が公表した「労働生産性の国際比較2018」では、日本の時間当たりの労働生産性は47.5ドル(4,733円/購買力平価換算)と、OECD加盟の36カ国中20位でした。これは米国の3分の2程度の水準であり、主要7カ国間ではデータ取得可能な1970年以降、最下位が続いています。労働生産性を改善させることにより、労働時間の短縮や休暇取得率の向上に繋がると考えられ、ひいてはクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を充実させることに繋がると期待されます。