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トランプ米政権は、2018年7月に、知的財産権の侵害などを理由に、中国に対し制裁関税を発動しました。中国は即座に同規模の報復関税を実施しました。さらに、米国が8月と9月にも追加的な制裁関税を発動すると、中国も報復関税の実施で応じ、関税引き上げ合戦となるなど、『米中貿易摩擦』は激化しています。『米中貿易摩擦』は、ハイテク分野を巡る米中の覇権争いの側面があるため、長期化する恐れがあります。
【ポイント1】米中の関税引き上げの応酬
米国は2018年7月、知的財産権などに関する中国の政策が米国に不利益を及ぼしているとして、中国からの輸入品340億ドルに25%の制裁関税を適用しました。中国はこれに対抗して、同額の米国からの輸入品に同率の報復関税を実施しました。
続いて米国は8月、第2弾として、中国からの輸入品160億ドルに25%の制裁関税を適用しました。中国も同額・同率の報復関税を実施しました。
さらに、米国は9月、第3弾として、中国からの輸入品2,000億ドルに10%の制裁関税を適用しました。これに対して中国は米国からの輸入品600億ドルに5%ないし10%の報復関税を実施しました。
【ポイント2】ハイテク分野を巡る米中の覇権争い
米国は中国に貿易黒字の削減だけでなく、知的財産権や技術移転などに関する産業政策の見直しも要求しています。
この背景には、世界第2位の経済規模となった中国が、先端技術の面でも米国に迫ろうとしていることに対する米国の強い警戒があります。中国は、ハイテク産業などの育成政策「中国製造2025」の修正を拒んでいます。『米中貿易摩擦』はハイテク分野を巡る米中の覇権争いの様相も呈しています。
【今後の展開】『米中貿易摩擦』は長期化する恐れも
トランプ大統領と習近平国家主席は12月1日、アルゼンチンで首脳会談を開きました。両首脳は、米国による第3弾の2,000億ドルの中国製品に対する関税の引き上げ(2019年1月より25%)を猶予することで合意し、知的財産権の保護など5分野について、3月1日を期限に米中協議を行うことが決まりました。
米中首脳会談では貿易戦争の一時停戦が合意された格好となりましたが、ハイテク分野に関する両国の溝は深く、米中協議の最終合意の道のりは平坦ではありません。『米中貿易摩擦』は、先端技術を巡る米中の覇権争いの側面があるため、長期化する恐れがあります。