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2018年11月7日~8日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の据え置きが決定されました。『FOMC議事要旨』によれば、参加者は「さらなる段階的利上げが適切」で概ね一致し、次回12月会合での利上げが示唆されました。ただし、その後の利上げに関してはあくまでもデータ次第であり、声明文の文言もそのように変更すべきとの意見が確認され、FOMC参加者のハト派化がうかがえる内容でした。
【ポイント1】11月のFOMCで12月追加利上げを示唆
足元の米国景気は堅調
米連邦準備制度理事会(FRB)は11月29日、11月の『FOMC議事要旨』を公表しました。政策金利(FFレート)は全会一致で据え置かれましたが、ほぼすべての参加者が足元の堅調な米国景気を背景に「さらなる段階的利上げが適切」と判断しており、「政策金利引き上げは近く正当化される」として、次回12月会合での利上げが示唆されました。
【ポイント2】先行きの経済見通しが慎重に
「さらなる段階的利上げ」の文言見直しを議論
『FOMC議事要旨』によれば、数人の参加者が、景気は当面良好としつつも、①海外景気の減速、②財政刺激効果の剥落、③利上げ効果の波及、④ドル高、⑤関税などの影響から、先行きは減速していくと指摘しました。
このため多くの参加者は、「今後の政策はデータによるべき」とし、「さらなる段階的利上げ」の文言をいずれ「データ次第で対応」に変更するべきと指摘しました。
FOMCメンバーは、利上げを継続することで景気を過度に抑制し過ぎないことに軸足を移しつつあるとみられます。
【今後の展開】12月の利上げが見込まれるなか、ドットチャートに注目
パウエルFRB議長は11月28日の講演で、現在の政策金利が「(景気を刺激も抑制もしない)中立金利からわずかに低い」と指摘しました。この発言を受け、想定よりも利上げ回数が少なくなるとの見方から、米長期金利が低下し、米国株式市場は大幅高となりました。
FRBの経済見通しが慎重になり、『FOMC議事要旨』の声明文の修正を検討しているとすれば、パウエル氏の発言はやはりハト派的であったと解釈すべきだと思われます。次回12月のFOMCで公表される、参加者の今後の利上げ見通しを示すドットチャートがどのようになるかが注目されます。