1)個人投資家の長期投資はすでに1,000万口座に達している?

 仕事柄、いろんなレポートを読む機会がありますが、投資信託評価などを営む三菱アセットブレインズのレポートで「お、なるほど」という記事をみかけました。

 それはiDeCo100万人突破と投資信託市場の展望を解説した記事でしたが、「長期投資家層としての個人投資家が1,000万を突破したのではないか」というようなポイントに目がとまりました(MAB投信だより~flesh eye NO.36 シニアファンドアナリスト勝森氏)。

 日本の個人、特に働く現役世代において、長期積立投資の選択肢を活用することが重要なのは言うまでもありませんが、1,000万口座、と言われると気になります。ちょっと数を数えてみましょう。

 

2)つみたてNISAの口座数は68万口座

 まず、つみたてNISAです。2018年1月からスタートしたつみたてNISAについては6月末のデータが金融庁から公開されていて68万口座となっています。一般NISAのほうが1,128万口座あるのですが、こちらは随時購入が中心ですし積立設定状況がわかりません。

 残高ベースでは投資信託が58%あり、この一部は積立設定と思われますが、控えめに考えて全体の10%の口座がつみたてNISAだとすれば100万口座はある理屈になります。

 

3)確定拠出年金で合計800万人

 確定拠出年金については厚生労働省のWEBに情報開示がされていて、こちらは9月末のデータがあります。企業型DCが685万、個人型DCつまりiDeCoが104万口座です(企業型DCについては8月末データ)。

 iDeCoが100万口座超えになったことがよく取り上げられていますが、実のところ、会社の退職給付制度として採用されている企業型DCの口座数の方が大きいことがわかります。企業型と個人型を合計すると約800万口座ということです。

 

4)一般に積立投資の設定数は低いと言われるがそれでも合わせると1,000万口座になる

 これ以外に考えられるのは非課税口座を介していない積立投資信託の設定です。ただしこれも実数を把握するのは難しそうです。そうはいっても数十万口座くらいはあるかなと期待してみます。

 仮にNISA経由での積立が170万前後の口座数、確定拠出年金経由の積立が800万弱の口座数とすれば、積立投資信託の口座数を足して、確かに1,000万口座になりそうです。

 ただし、留意するべきは「重複口座」です。意識の高い人ほど複数口座を活用します。特に税制優遇の意義を理解する人ほどiDeCoとNISAは同時開設するでしょうから、実際には「もう少しで1,000万口座」と考えておいたほうがいいかもしれません。

 一方で、生産年齢人口(いわゆる現役世代といわれる15歳~65歳未満の人口)は、2018年1月1日時点で7,484万人となっています。積立投資は現役世代が多く利用すると考えれば、割合にして13.3%、7~8人に1人くらいが利用している計算となり、1,000万口座も近いうちに越してしまいそうです。

 

5)職場の同僚も「積立投資仲間」かもしれない

 8人に1人と考えると、職場のフロアに何人も積立投資を設定している人がいる、ということです。これはなかなかすごいことです。(ちなみに働いている人にしぼって、65歳未満の労働力人口で1,000万口座を割ると、ざっくり6人に1人と割合は高まります)

 実は普通に働く会社員の多くが「長期投資家」であるなんて、投資と言えば短期的な売買しか知られていなかった前世紀(そもそも少額からの積立投資が設定されていなかった!)を考えれば驚くべき変化です。

 職場でお金の話をすることは現実的にはなかなか困難だと思います。同僚の誰が積立投資をしているかはわからないでしょう(人事部の人はiDeCoをやっている社員だけ把握できますが、当然口外してはいけません)。

 しかし、同じ職場に積立投資をしている仲間がいると思えば、ちょっとした勇気がわいてくるのではないでしょうか。そして、「まだ投資をしていなかったけど興味はある」という人は、自分の職場にも何人も積立投資をしている人がいると思って、ぜひ口座開設してみてください。投資は普通に働く人もやっていいことだし、それを恥じる必要もありません。

むしろ、普通に働く人ほど投資をやるべきなのです!

 

◎データ出所

1)に関して

MAB投信だより~flesh eye NO.36 シニアファンドアナリスト勝森氏
 

2)に関して

金融庁調べ NISA口座の利用状況調査 (平成 30 年6月末時点)

3)に関して

厚生労働調べ 確定拠出年金の施行状況
 

4)に関して

総務省調べ 住民基本台帳に基づく人口動態の生産年齢人口(2018年1月1日時点)