アベノミクス相場で大きく株価を上げた成長株。これらはPER(株価収益率)が高いにも関わらず株価上昇が続きました。しかし最近になり、その傾向に異変が生じています。その理由と今後の注意点をまとめました。

 

アベノミクス相場で株価が大きく上昇した成長株

 早いもので、2012年11月後半からスタートした、いわゆるアベノミクス相場も6年が経過しました。この間、日経平均株価などの株価指数はもちろんのこと、個別銘柄の多くも株価が上昇しました。

 ただし、以前の上昇相場とは異なり、銘柄によって上昇率に大きな差が生じているというのがアベノミクス相場の特徴です。
 ざっくり言って、割安株はあまり買われなかった一方で成長株が大きく上昇しました。成長株の中には、この6年間で10倍、20倍、なかには100倍以上に上昇したものもありました。

 

高PERの銘柄に最近異変が生じている

 株価が大きく上昇した成長株。その多くはPERが非常に高い水準にあります。株式投資の教科書ではPERの適正水準は15~20倍と書かれています。でも、それよりはるかに高い50倍、100倍、中には200倍といった非常に高いPERである銘柄の株価が、さらに大きく上昇を続けていきました。

 ところが今年に入り、その傾向にだいぶ変化が生じています。つまり、高PER銘柄の中に、株価が大きく下落してしまうものが目立ってきているのです。

 

なぜ高PER銘柄の株価が大きく値下がりするのか?

 なぜこれまで値上がりが続いていた高PERの成長株の株価が大きく値下がりしているのでしょうか?その理由は主に2つ考えられます。

 1つは、「業績の伸びが鈍化したり、利益が減少すると見込まれるため」です。
 高PER銘柄は、将来非常に高い成長が続くことを前提としています。PER50倍であれば、毎年利益が30%ずつ伸び続けるくらいの高成長でないと、なかなか説明がつきません。

 ところが最近の決算発表で、「利益の伸びが鈍化」や「増収増益の予想だったのが一転して減益予想」になる、という銘柄が相次ぎました。

 もともと毎年利益が大きく伸び続けるという前提のもとで非常に高いPERになるまで株価が買われていました。決算発表などによりこの前提が崩れたことにより、株価が大きく下落してしまったのです。