<今日のキーワード>
「景気ウォッチャー調査」、いわゆる『街角景気』とは、景気に敏感なタクシー運転手や小売店、メーカー、輸送業、広告代理店など、地域の景気の動きを敏感に観察できる立場にある約2,000人を対象とした調査です。10月の『街角景気』では、足元の景況感を示す現状判断指数(DI)が、家計部門を中心に2カ月ぶりに改善しました。一方、景気の先行きを示す先行き判断DIは企業部門を中心に2カ月連続で悪化しました。
【ポイント1】現状判断DIは前月比+0.9ポイントと2カ月ぶりに改善
先行き判断DIは2カ月連続悪化
10月の『街角景気』によると、現状判断DI(季節調整値)は前月比+0.9ポイントの49.5となり、2カ月ぶりに改善しました。項目別にみると、自然災害の影響で9月に低下した飲食関連、サービス関連などの家計動向関連で顕著な改善がみられました。一方、雇用関連や非製造業の低下から企業動向関連は悪化しました。
先行き判断DIは50.6と、前月から▲0.7ポイントの低下となり、2カ月連続で悪化しました。項目別にみると、米中貿易摩擦への懸念などから企業動向関連がやや大きく低下したほか、雇用関連も悪化しました。
【ポイント2】ウォッチャーのコメントを分析
景気にポジティブなコメントが増加
街角の声をより客観的に分析する、当社独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、ウォッチャーの現状判断に関するコメントからは、景気にポジティブな表現が増え、景況感の改善がみられます。
ただ、相次ぐ自然災害や国際情勢の不透明感、株価の大幅変動などの影響から、節約に関わる用語の使用数や不安に関わる用語の使用数が増加するなど、ウォッチャーは現状の景気について一定の慎重さを保ったままのようです。
(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な方法として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後に ある有益な情報を探ることができます。
【今後の展開】米中間の交渉や、原油価格の動向などに注目
10月の『街角景気』で先行き判断DIは2カ月連続で低下しましたが、景気判断の節目となる“50”を引き続き上回っており、ウォッチャーの期待感は維持されていると考えられます。
内閣府は基調判断について「緩やかな回復基調が続いている」を維持しました。ただ、引き続き「先行きについては、コストの上昇、通商問題の動向などに対する懸念もある」と指摘しています。今後も、貿易摩擦をめぐる米中間の交渉や原油価格、株価の動向などが注目されます。