前日(8月9日)の市況

ドル/円:軍事的緊張が一気に高まり109円台へ

北アジアの軍事的緊張が一気に高まったこの日のマーケットは、ドル/円とクロス円に売りが集中。ドル/円は東京時間に110円台を割ると、先週の米雇用統計前の安値を更新して、6月15日以来の安値となる109.64円まで大きく下落しました。

クロス円も大きく売られ、豪ドル/円は86.28円まで、またユーロ/円は、パリのテロ事件の懸念でユーロ/ドルが下げたこともあり、一時128.43円をつけました。一方、安全通貨とされるスイスフランが買われました。

地政学リスク再燃の原因は、トランプ大統領が北朝鮮の軍事行動を非難する発言をしたことに、北朝鮮が米軍事基地のあるグアム攻撃を検討していると応酬したこと。投資家心理の悪化で日経平均は一時300円以上の大幅下落となりました。

ただ、米国がすぐに軍事行動を開始するとはないとの見方もあり、売り一巡後は110円台まで戻し、その後は110円をはさんで小動きとなりました。終値は、110.046円(前日比-0.296円)。

 

ドル/円1時間足チャート

 

 

今日の見通し

ドル円とクロス円が日本と米欧の金利差拡大を背景に上昇してきた分は、今回の件がダメ押しとなって、すべて消えてしまいました。米欧の金利上昇期待は、6月時点に比べると明らかに後退しているので、新たなサプライズがない限り、この材料でドル/円、クロス円をもう一度買い上げることは難しいでしょう。

北アジアの地政学リスクに関しては、戦争の可能性は常にあります。今後もドル/円の上昇を妨げる要因として存在することになるでしょう。

ドル/円 8時間足[8月8日]

 

明日は東京市場が休みですが、NY時間に7月のCPI(米消費者物価指数)が発表されます。CPIは今年の2月をピークに下げています。米国の「年内利上げなし」という見方が強まっている理由のひとつです。

現在の市場予想は前年+1.8%(前回+1.6%)、前月比+0.2%(前回+0.0%)。しかし、市場予想を上回る結果になれば、この数日のドル安センチメントを反転させるきっかけとなるかもしれません。