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 米国では、1期4年の大統領の任期の半分となる2年が経過した年に、上下両院および州知事等の公選職の選挙が実施されます。11月6日に投票が行われた今回の『中間選挙』では、下院が435の全議席、上院が100議席のうち補欠選を含む35議席が争われました。『中間選挙』は、大統領の政権運営に対する批判票が集まりやすく、与党が議席を減らす事例が多いとされますが、今回も例外ではなかったようです。

 

【ポイント1】注目の下院は民主党が勝利

上院は共和党が多数を占める

「米国第一」を掲げて2017年1月に就任したトランプ大統領にとって初の審判となる今回の『中間選挙』では、事前の予想通り上院が与党共和党、下院は野党民主党が勝利を収めました。

 

【ポイント2】議会は、多数党が上院と下院で異なる「ねじれ」状態

トランプ大統領の減税等、財政支出拡大は下院での勝利につながらず

 現地時間11月7日、午前2時40分における議会の獲得議席数は、定数100議席の上院が民主党44議席、共和党51議席、定数435議席の下院が民主党215議席、共和党192議席となっています。下院の残り28議席は未定ですが、それを踏まえても民主党の勝利は確定したもようです。米議会は、上院と下院で多数党が異なる、いわゆる「ねじれ」状態となります。

 下院で民主党が多数派となるのは、8年ぶりのことです。トランプ大統領は、法人税率の引き下げといった大型減税や規制緩和の実施等による景気・雇用の順調な拡大を成果として掲げてきましたが、下院での勝利にはつながりませんでした。

 一方、上院は非改選議席の多い共和党が勝利しました。ただし、議事妨害(フィリバスター)を阻止できる60議席の確保はなりませんでした。

 

【今後の展開】トランプ大統領の掲げる政策の実現は困難な状況に

 上院と下院で多数党が異なる、いわゆる「ねじれ」議会となったことで、共和党主導の予算編成は困難となりました。従って、国境の壁建設に代表される移民対策や、医療制度改革等は実現の可能性が後退する見通しです。ロシア疑惑を抱えるトランプ大統領への追及が強まることもありそうです。なお、中間選挙の結果は、ほぼ事前予想通りだったことから、為替市場での米ドルの対円相場は小動きにとどまりました。