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 世界的にプラスチックごみによる海洋汚染問題に関心が急速に高まっています。6月にカナダで開いた主要7カ国首脳会議では「海洋プラスチック憲章」が議論され、2030年までにすべてのプラスチックを再利用や回収可能なものにする方針が検討されました。こうした動きを受け、企業の間では『脱プラスチック』への取り組みが進み始めました。またプラスチック代替素材の開発も本格化してきており、今後の動向が注目されます。

 

【ポイント1】大量生産されたプラスチックが自然界に流出

『脱プラスチック』に取り組む企業が増加

 プラスチックは大量生産され価格も安いため、使い捨てされやすく、海など自然環境へ大量に流出しています。プラスチックごみは耐久性が高いため、分解されにくく、滞留してしまうという問題があります。

 コスト増につながりますが、レジ袋、包装容器、ストローなどで企業は『脱プラスチック』への対応を迫られています。こうした中、プラスチック製ストローの使用をやめる動きが世界的に広まってきました。日本でも、デニーズやガストなどが新たに中止を決めました。

 

【ポイント2】生分解性プラスチックへ期待が高まる

『脱プラスチック』の動きは、製紙業界には追い風

 生分解性プラスチックは、微生物と酵素の働きによって最終的に水と二酸化炭素に分解されることから、廃棄物処理問題の解決につながると期待されています。カネカは成分が植物由来で、セ氏30度の海水で6カ月以内に9割以上が分解する生分解性プラスチックについて、生産能力を2019年末までに5倍にするなど化学会社中心に取り組みを積極化させています。

『脱プラスチック』の動きは、製紙業界には追い風になります。日本製紙は年内にも、特殊な加工技術で機能を強化した紙製ストローを実用化します。強度や飲料の風味が変わるという弱点を改善しました。

 

【今後の展開】技術向上や低コスト化による『脱プラスチック』の進展に注目

 プラスチックは大量生産ができる上、低価格、耐久性、成型性などにすぐれるため、他への代替は簡単ではありません。生分解性プラスチックは価格の高さと耐久性などがネックとなり、普及は遅れていました。

 ただし今回の『脱プラスチック』の背景には、国際的な取り組みに加えて、今年1月に中国が廃棄プラスチックの輸入禁止措置を発動し、廃棄プラスチックの行き場がなくなったことなどがあり、待ったなしの状況です。生分解性プラスチックなどで技術向上や低コスト化が進み、『脱プラスチック』が加速するか注目されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。