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 トヨタ自動車とソフトバンクグループ(以下ソフトバンク)は10月4日、戦略的提携を発表しました。自動運転技術など新しい『モビリティサービス』の構築に向けて新会社を設立します。所有から利用へと車のユーザーの志向が大きく変化するなか、ライドシェアやカーシェア、レンタカー、タクシーなどの『モビリティサービス』の強化に向けた動きが加速しています。両社の提携を機に自動車の技術・サービスを巡る合従連衡も増えそうです。

 

【ポイント1】トヨタ自動車とソフトバンクが戦略的提携

新しい『モビリティサービス』の構築

 トヨタ自動車とソフトバンクは10月4日、新しい『モビリティサービス』の構築に向けて戦略的提携に合意し、両社で「モネ・テクノロジーズ」を設立することを発表しました。これにより、グーグルなどの陣営に対抗できる日本企業連合が誕生します。

 トヨタ自動車が打ち出した『モビリティサービス』 ・プラットフォームは、自社開発したシステムを、ライドシェアなどの『モビリティサービス』事業者に対して提供する、管理・利用・分析など個別の機能を包括した仕組み全体のことを指します。 『モビリティサービス』を支える車とIT(情報技術)の融合は独ダイムラーや中国企業などでは既に進み始めており、ソフトバンクとの連携による巻き返しが期待されます。

 

【ポイント2】ソフトバンクは世界の配車サービスに投資

 ソフトバンクは既にライドシェア大手の米ウーバー、シンガポールのグラブなどに大規模に出資しているほか、半導体設計大手の英アームを買収しています。

 今回の提携で両社の協調姿勢が強まれば、トヨタ自動車の持つ自動車の開発、生産、販売、メンテナンスにおける強みや自動運転技術のソフト、ハード両面での技術力を実際の開発や商業化で活用しやすくなると考えられます。 ソフトバンクは既にライドシェア大手の米ウーバー、シンガポールのグラブなどに大規模に出資しているほか、半導体設計大手の英アームを買収しています。

 

【今後の展開】自動車は国境を越えた企業連合の総力戦へ

 この提携によって、トヨタ自動車は『モビリティサービス』に積極投資してきたソフトバンクと協業するメリットを生かし、グローバルな競争力を高められる可能性があります。
自動車産業におけるコネクテッド(通信でつながる車)、自動運転、シェアリング、電動化などは国境を越えた企業連合の総力戦となっていくとみられます。技術的な課題などが残りますが、企業の対応いかんでは主役が交代する可能性もあり、今後もこうした提携の動きから目が離せません。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。