行動パターン3:投げ売りする

 株価が短期間に大きく下落すると、下落に耐えられずに投げ売りをする、という方が増えてきます。特に、信用取引で買った株が大きく値下がりしている場合に多いパターンです。

 これは、信用取引の正しい使い方ができていないことに原因があります。信用取引は原則6カ月という短期間での決済を求められます。でも、6カ月以内に株価が上昇するのを待っていると、上昇せずに時間切れ、というケースが多々生じます。

 さらには、信用取引の場合レバレッジがかかっているため、買値から30%以上下落すると追い証(証拠金の追加差入れ)が発生し、強制決済されるケースが目立ってきます。その結果、投げ売りせざるを得なくなってしまいます。

 株価が大きく値下がりして投げ売りするくらいなら、下落を始めた初期段階で損切りして、小さい傷で済ませておくべきです。信用取引で大失敗しないためには逆張りではなく順張りを用い、かつ適切な損切りの実行が必要です。

 

行動パターン4:空売りして利益を狙う

 アグレッシブな個人投資家の方は、空売りして利益を狙うというケースもあります。確かに、明確な下降トレンドになれば、株価が値下がりを続けているわけですから買うより売る方が利益を得ることができます。

 空売りも信用取引の1つですから、注意すべき点は信用買いとほぼ同じです。上昇トレンドの銘柄を逆張りするのではなく、下降トレンドの銘柄を順張りで空売りし、上昇トレンドに転じたら速やかに損切りをする必要があります。

 下落相場が長期化すれば、空売りはかなり有効なツールになります。空売りにはリスクもありますので、無理に実行する必要はありませんが、中級者以上の方であれば戦略の1つに加えておいてよいでしょう。

 

行動パターン5:いつもと変わらずルール通り行動

 株価が急落したからと言って特に普段と対応を変えることなく、いつもどおり自身の決めたルールに従って淡々と行動する、という方もいると思います。筆者はまさにこのパターンです。

 筆者は、10月25日の株価大幅下落のとき、すでに保有株の大部分を売却済みでした。なぜなら、多くの銘柄がすでに下降トレンドになっていたからです。
 株価急落にはいくつかパターンがありますが、今回は日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)といった株価指数の急落が起こる前に、すでに下降トレンドに転じている個別銘柄も多かったです。したがって、下降トレンドに転じたものから順次売却をしていった結果、10月25日の時点では保有株がかなり少なくなっており、小さな損失で済みました。

 

重要なのは「退場させられないこと」

 以上、代表的と思われる5つのパターンを見てきました。やはり株価が大きく値下がりするときに第一に考えるべきは「大きな損失を出して退場させられるのを避ける」ことです。このことを前提に考えれば、大きな損失を出さないためにはどんな行動をすればよいか、どんな行動はしてはいけないのか、自ずと見えてくるはずです。

 株式投資の手法にはいろいろあり、それぞれに考え方がありますが、筆者個人的にはパターン1~3の手法は、大きな損失を被る危険性が高いと思っています。ですからそれらを実行することはありません。

 株価が急落したとき、「そろそろ下げ止まる」と思ってもそうならないことが多々あります。下げ止まらずさらに大きく下落する、という最悪の事態をも想定して戦略を立てる必要があります。

 筆者は、株価が大きく値下がりすることで致命的な損失を被り、失意のもと株式マーケットから退場させられる個人投資家を数多く見てきました。
 下げ相場になったら利益を得るのはあきらめ、損失が生じるのは当たり前と考え、その損失を最小化することに心血を注ぎましょう。その意味で、気持ちの切り替えができるかどうかが大事です。