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 安倍総理大臣は中国を公式訪問し、10月26日に習近平国家主席、李克強首相と『日中首脳会談』を行いました。両政府は、第三国市場開拓での連携や金融分野の協力で合意するなど、経済分野を中心に実務協力を加速させることを確認しました。尖閣諸島を巡る問題で悪化した日中関係は、日中平和友好条約締結40周年の節目の年を迎え、改善の動きが進展しています。

 

【ポイント1】『日中首脳会談』で経済分野中心に協力確認

 安倍総理は26日午前、李克強首相と首脳会談を行い、そろって記者発表を行いました。両首脳は、経済分野などでの協力を強化することで合意し、新たな関係に発展させることを確認しました。

 会談では、2018年度で中国向けの政府開発援助を終了させることを決定し、第三国へのインフラ整備を協力して行うことで合意しました。また、互いの通貨を融通する通貨スワップ協定を再開することで一致しました。

 今後の日中関係については、「競争から協調へ」、「協力のパートナーで互いに脅威とならない」、「自由で公正な貿易体制の発展」などを確認しました。

 その後、安倍首相は26日夕方、釣魚台迎賓館で習近平国家主席と会談しました。両首脳は、習主席の訪日を含め、今後首脳間の相互往来を加速していくことで一致しました。

 

【ポイント2】第三国市場協力フォーラムを開催

『日中首脳会談』に合わせて、東南アジアなど第三国での経済協力を話し合う「日中第三国市場協力フォーラム」が26日に北京で開かれました。

 同フォーラムには、日中の企業や政府関係者、約1,400人が参加しました。安倍総理と李克強首相も出席し、日中の企業や政府機関が52のプロジェクトで協力することが合意されました。

 

【今後の展開】日中関係の一層の改善を期待

『日中首脳会談』を通じて、新たな段階の日中関係が構築され、関係改善が進展したとみられます。習主席の訪日実現に向けた調整や、経済分野を中心に具体的な協力を確認できたことは大きな成果といえます。この背景には米中貿易摩擦が激化するなか、中国側が対日関係の改善に向けてかじを切ったことがあると考えられます。貿易摩擦をめぐり中国と敵対する米国との関係に留意する必要はあるものの、今後、日中関係の一層の改善が進むことが期待されます。