金融市場のプロの投資家の行動について
金融市場のプロの投資家の行動は、新聞で行われる美人投票に似ている。100枚の写真の中から最も美人だと思う人に投票してもらい、最も票を集めた美人に投票した人達が商品をもらえるような投票だとすると、プロの投資家は自分の好みの美人を選ぶわけではない。他の多くの人が美人だと思うであろう人に投票し、他の多くの人も、その他の多くの人が美人だと思うであろう人を予想して投票する。そのような予想の中で票をもっとも集めそうな美人に投票する。
何やら複雑ですが、極論すれば、自分の好みではなく、参加者の心理を読んで勝ちそうなところに掛けるということになります。自分の価値観だけではなく、まさに「相場を読む」ということにも繋がるでしょう。
理論からは乖離しているように見える現象
相場の格言やアノマリーと言われる、理論からは乖離しているように見える現象も心理的な要因を加味すると、頭から全否定することはできないかもしれません。相場の格言には『申酉(さるとり)騒ぐ』という言葉があります。干支は12年周期、アメリカ合衆国の大統領選挙は4年周期で、申年の年は大統領選挙と重なっています。選挙は蓋を開けてみるまでわからない水物、まして米国の大統領の方針は米国だけでなく日本や世界経済にも影響を与えます。後で相場の動きを分析してみるとたいしたことはなくても、大統領選挙というイベントと関連づけられて記憶されると、ヒューリスティックが働いて、申年は相場が荒れる年とすぐに思ってしまい、そう思う人が多いと多くの人が予想すると、自己実現的な相場の荒れに繋がることもありえます。