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米連邦準備制度理事会(FRB)は、年に8回開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)のうち3、6、9、12月に開く会合で、FOMCメンバーによる米国経済と政策金利の見通しを公表しています。米国の政策金利はフェデラルファンド(FF)レートですが、FOMCメンバーが予想するFFレートの水準を “点(ドット)”の分布で表現したグラフは『ドットチャート』と呼ばれ、将来の政策金利の動きを予測するうえでの判断材料とされます。
【ポイント1】9月開催のFOMCで0.25%の利上げを決定
全会一致の決定
FRBは9月25日、26日に開催したFOMCで、市場の予想通りFFレートの誘導目標レンジを0.25%引き上げ、2.00%~2.25%とすることを決定しました。全会一致の決定です。
【ポイント2】18年は計4回の利上げを予想
19年の利上げ予想回数は3回
『ドットチャート』を見れば、FOMC参加者が予測するFFレートの分布がわかります。その中央値は、18年末が2.38%、19年末が3.13%、20年末が3.38%、景気を刺激も抑制もしない、いわゆる中立金利に相当する長期の均衡値は3.00%でした。
1回当たりのFFレート引き上げ幅を0.25%とすると、利上げの回数は18年が4回(これまで既に3回の利上げを実施)、19年が3回、20年が1回となります。今年6月開催のFOMCで、『ドットチャート』が示唆した回数から変化はありません。
しかし、19年、20年とも中央値以上の利上げを予想するドットが僅かですが増えています。景気見通しへの自信が高まったことが背景にあるのではないかと考えられます。
【今後の展開】20年で利上げの打ち止めを想定
今回から新たに21年末の見通しが加わっています。それによれば、ドットの中央値は3.38%と、20年末対比で横ばいでしたが、小幅な利下げを想定するドットが多く見られます。20年で利上げを打ち止め、21年は政策金利を中立金利の水準(3.00%)に戻す動きも想定されているようです。
利上げの継続により、長期金利には上昇圧力がかかると見られます。もっとも、インフレが抑制された状態が続くと予想されることから、利上げの速度は緩やかと考えられ、政策金利の着地点も3%前後となる見通しです。この点を踏まえると、長期金利の上昇も小幅なものにとどまりそうです。