9月最終週となった先週の国内株市場ですが、週末28日(金)の日経平均終値は2万4,120円となり、終値ベースで節目の2万4,000円台に乗せてきました。

 終値ベースでの年初来高値は1月23日につけた2万4,124円でしたので、年初来高値更新までわずかに届かなかったわけですが、取引時間ベースでは、同じ28日(金)に2万4,286円まで上昇していましたので、こちらはこれまでの2万4,129円だった年初来高値を更新しています。また、週間では3週連続の上昇で、前週末比では251円高でした。これにより、ここ3週間で日経平均は1,813円上昇したことになります。

 10月相場入りとなる今週は、急ピッチな上昇に対する警戒感も意識されそうな中で迎えるわけですが、さらに高値追いの展開となるのでしょうか?いつもの通り、下の図1で足元の状況から確認します。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2018年9月28日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 

 まずは、ローソク足の並びです。先週も連休明けで4日間の取引日数でしたが、陽線・陽線・陰線・陽線という順番で出現しましたが、ここでのポイントは2点です。

 一つ目のポイントは、最初の陽線2本の組み合わせです。26日(水)の陽線が前日25日(火)の陽線よりも大きく、いわゆる「包み足(つつみ足)」の形になっています。包み足はトレンド転換のサインとして意識されることが多い組み合わせで、とりわけ天井圏では陰線を陽線が包みこむ格好には要注意とされています。

 幸い、今回は陽線同士の組み合わせだったこともあり、結果的に相場が下方向へと傾くことはありませんでしたが、それでも翌27日(木)の取引が売りに押され、上ヒゲの長い陰線が出現しています。

 続いてのポイントは、週末のローソク足の形です。先週末28日と前週末21日のローソク足は、ともに実体よりもヒゲの方が長い「コマ足」となっています。ローソク足は実体が相場の強さ、ヒゲが揺らいだ気持ちを表すとされています。つまり、週末は2週続けて迷いを示すローソク足が出現したことになります。

 これらのポイントからは売りへの意識も芽生えつつある印象が感じ取れます。もちろん、これが明確なトレンド転換のサインとして判断できるわけではありませんが、少なくとも、ここから先の上値追いは、急ピッチな上昇による警戒感をこなしながらトライしていくことにはなりそうです。

 そのため、よほどの大きな材料が出てこない限りは、上昇ペースの一服や鈍化していくといった小休止の展開を想定しておく必要がありそうです。取引手法についても、ここ直近では短期的に相場が動いた方向について行くのが効を奏してきましたが、そろそろ押し目買いを狙うタイミングについても検討し始める時期なのかもしれません。

 また、次の焦点となるのは、小休止の後に再び上昇の勢いが出てくるのかどうかになります。そこで思い出されるのは、昨年秋の上昇局面です。足元の株価上昇は9月7日を底にして始まりましたが、昨年の上昇局面も9月8日を底にして始まっていて、タイミング的にはほぼ同じです。そして、昨年は急ピッチで上昇した後の小休止を挟んで再び大きく上昇しています(下の図2)。「歴史が繰り返す」展開となれば、年末相場への期待は意外と高いのかもしれません。

■(図2)昨年秋の日経平均の動き(2017年9月〜2017年末)

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 

 自民党総裁選後の政策期待をはじめ、日本株の出遅れ感や直近の円安傾向を受けた国内企業の業績期待、米国の好調な経済と堅調な株式市場などの買い材料はありますが、足元の株価上昇は需給的な要因で勢いづいた面が強く、いわば、日経平均は需給の後押しというロケットによって株価水準が引き上げられた格好ですが、さらなる上値追いにはもう一段の燃料ロケットが必要になると言えます。

 とりわけ、今月の下旬以降からは国内企業の4-9月期決算が本格化しますが、これが相場の後押しになるかが注目されます。米国が対中制裁関税の第1弾を発動したのが7月6日ですので、いわゆる米中貿易戦争の影響がそろそろ企業業績に及んでくるかもしれない時期ですし、さらに、中国では10月初旬に国慶節で大型連休となります。夏場に相次いで日本を襲った自然災害によって遠のいた観光客がどこまで回復できるかも注目されそうです。

 最後に、エンベロープでも確認します。

■(図3)日経平均(日足)のエンベロープ(2018年9月21日取引終了時点)

出所:MARKETSPEED for Macを元に筆者作成

 

 エンベロープについては前回も紹介しましたが、そこでも指摘した通り、日経平均のエンベロープは25日移動平均線を中心にして、主に±3%の範囲内で推移し、大きなトレンドが発生して相場が動くときには±6%のところが目安になっている場面が多いです。昨年秋の上昇局面も+3%と+6%の範囲内を往来しながら上昇してきたことが分かります。

 そのため、引き続き株価が下がった際に+3%水準をキープできるかが注目点になります。ちなみに先週末時点での+3%は2万3,734円ですので、押し目として意識されやすいのはこの辺りになると思われます。