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『オフィスビル空室率』や平均賃料は、オフィスビル仲介大手の三鬼商事が、毎月中旬頃に公表しています。2012年には9%台だった東京都心5区の空室率は2%台まで低下しました。空室率の低下に伴い、平均賃料も緩やかながら上昇基調にあり、極めて良好な需給環境が続いています。2020年にかけて、新築ビルの大量供給が予定されています。空室率と平均賃料に及ぼす影響が注目されるところです。
【ポイント1】8月の都心5区の『オフィスビル空室率』は低下
新築ビルの空室率は一部で空室を残した竣工により上昇
9月13日に公表された三鬼商事の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の8月の『オフィスビル空室率』は2.45%でした。前月に比べ▲0.13ポイント低下しました。1991年12月以来の低水準の空室率となりました。
8月の新築ビルの空室率は同+1.39ポイントの4.95%、既存ビルの空室率は同▲0.19ポイントの2.37%でした。大規模ビル3棟が満室や高稼働で竣工したものの、一部で空室を残していることから、新築ビルの空室率が上昇しました。一方で館内増床などによって大型空室に成約が進んだため、既存ビルの空室率は低下しました。
【ポイント2】平均賃料は緩やかな上昇が続く
56カ月連続の上昇
空室率の改善に伴い、賃料は緩やかながら上昇を続けています。8月の都心5区の平均賃料は、前月比+0.44%の坪当たり2万291円となり、56カ月連続の上昇となりました。需給が引き締まっている状況にあり、平均賃料は上昇が続いています。
8月の新築ビルの平均賃料が同+2.52%の2万8,772円、既存ビルは同+0.39%の2万42円とともに上昇しました。
【今後の展開】『オフィスビル空室率』は当面は低水準を維持する見込み
2018年の新規供給は前年を大幅に上回り、直近で最も供給量が多かった2012年以来の供給となるため、空室率の上昇が懸念されていました。ところが好調な企業業績を背景とした企業の根強いオフィスビルへの需要などを背景に新築ビルの成約が順調で、少なくとも年内は現状の低水準の空室率が続くとの見方が多くなっています。2019、2020年も高水準の新規供給が続くため、新築ビルに対する高い需要が維持できるか注目されます。