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「年金もらえない」トークはウソ。老後不安をあおる「3つのまやかし」を暴く
山崎 俊輔
なんとなくから卒業!実践・資産形成術
誰にとっても重要で大切な「年金」と「老後資金準備」について、「漠然とした不安」から卒業しよう! これからの人生のマネープランを、主体的にかつ前向きに組み立てるためのヒントを、ファ…

「年金もらえない」トークはウソ。老後不安をあおる「3つのまやかし」を暴く

2018/8/31
・iDeCoに限らず、老後不安をあおられたら、まずセールストークと心得る
・ダウト(1)国の年金はもらえないトーク
・ダウト(2)60歳から無年金トーク
・ダウト(3)68歳まで国の年金はもらえない
・それでもiDeCoやつみたてNISAは使いたい
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iDeCoに限らず、老後不安をあおられたら、まずセールストークと心得る

 iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)や、つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)などを利用して、投資をスタートした人のうちの何割かは「老後の不安に備える」というキーワードがきっかけになっているかもしれません。

 老後の不安をあおり、金融商品をセールスするのは、販売側のベタな手法の一つだからです。しかし、これがウソや誤解を交えて契約に誘導している場合、ちょっと問題ありだと思います。

 資産形成に取り組むことは基本的にはよいことです。しかし、事実ではない誤った前提を吹聴され、ダマされないよう、3つのウソ(ダウト)を今回は紹介します。

 

ダウト(1)国の年金はもらえないトーク

 ある日、喫茶店で原稿書きをしていたら、隣席で不動産投資の営業マンが若い男性相手に熱心にトークしている場面に出くわしました。物件の話をしているうちはまだよかったのですが、そのうちミスリードに誘い込むトークが始まりました。

 営業マンいわく、「国がなんでiDeCoとか税制優遇をやっていると思いますか? あれは国の年金はもう払えないというメッセージなんです。だからこそ、家賃収入で老後の安定的な支えが必要なんです!」というストーリーです。この話に思わず割って入ろうかと考えましたが、最終的に男性は契約の判断を留保して帰っていきました。そして、営業マンは顧客を見送ったあと、舌打ちしながら会計をしていました。

 国の年金を「まったくもらえない」とするのは、かなり悪質なトークだと思います。

 こう誘導することで、老後に備えなければならないとするお金が、約1億円くらいまで引き上がります。つまり、老後生活に必要な9,000万円(毎月30万円×25年)丸ごと備えなくてはならないと言えるのです。

 しかし、公的年金を受け取ることができれば、足りない分の2,400万円(月8万円×25年)しかセールスできないことになります。

 現実的に、公的年金の破たんリスクが考えにくいことは、2014年の財政検証結果で明らかになっています。週刊誌が最近、「年金破たん特集」をやめたのは、この情報開示により自称有識者が破たんコメントを出せなくなったからです。

 この年金破たんのウソに引っかかると、いいことはほとんどありません。公的年金水準は「減るは減る」けれど、「破たん」は別の話です。減る分を「しっかり備える」ことに意識を向け、整理しなければなりません。

 

ダウト(2)60歳から無年金トーク

 2つめのウソは「60歳から無年金になるので…」というやつです。

 とあるiDeCoセミナーでは「60歳で定年退職、国の年金支給は65歳からなので、この間の生活費だけでも400万円×5年で2,000万円が必要。だからiDeCoです!」と実際に力説しています。

 現在、65歳までの雇用継続は職場に義務づけられていますし、その実施率は99.7%とされています(平成 29 年「高年齢者の雇用状況」集計結果/厚生労働省)。労働力人口の急減と、国の高齢社会対応政策を勘案すれば、むしろ65歳以降の雇用義務化や定年延長に議論は向かっています。

 特に「60代前半の収入ゼロ」は、現在40代から50歳前後の人へのトークとしては非現実的です。ここで「なるほど。そうか、大変だ」などと思ってはいけません。

 60代前半で、「今より下がった賃金だけでは足りないので、穴埋めが必要」というなら分かりますが、この場合、年100万円不足×5年分なら500万円で賄えることになります。

「無年金、無収入」というロジックは、セールス金額をかさ上げするためによく使われるトーク例ですので、注意してください。

 

ダウト(3)68歳まで国の年金はもらえない

 最後のまやかしトークは、ダウト2と絡めて用いられがちですが、「国の年金の受給開始が65歳より先に引き上げられる」というものです。

 これは方向感としては間違ってはいないのですが、少しだけ頭の整理が必要です。

 というのも「世界的な趨勢(すうせい)は、60代後半が年金受給開始年齢」であることは事実です。OECD(経済協力開発機構)の報告などを読んでいると、日本より平均寿命の低い諸外国が、65歳より高い年齢に切り上げて受給開始していることが分かります。

 一方で、日本で仮に受給開始年齢が68歳に引き上げられたとすれば、「68歳まで働けるよう法律改正される」という可能性を、「あえて」見過ごすことにより「無年金無収入になる。だから老後に備えましょう!」とつなげるところに、ミスリードを誘います。

 過去、65歳まで公的年金受給開始年齢が徐々に引き上げられるのに併せて、段階的に高齢者雇用を義務づけ、最終的には65歳雇用と65歳年金開始が合うように政策がとられました。国だってバカではないので、無年金期間を作るわけがないのです。

 しかし法律の整備の順番は「年金が先で、雇用が後」なので、こうしたミスリードの介在する余地があります。

 また、日本の年金制度はむしろ「65歳からとするか、68歳とするかは自分で選べる」という方向に誘導しようとしています。

 筆者が見る限り、今の社会保障審議会年金部会の議論は、受け取り年齢を自由に選ばせる一方、遅くするほど年金額を増額させる方向感にあるようです。

 だとすれば「68歳までもらえない」は、さらにウソということになってしまいます(ちなみに今でも60歳から減額された年金をもらうことはできる)。

 やはり、「60歳から68歳まで無年金、無収入ですから、年400万円×8年で3,200万円が必要。だからiDeCo(不動産投資でもFXでも可)です!」というトークについては、注意してください。

 

それでもiDeCoやつみたてNISAは使いたい

 ミスリードを誘うセールストークについて紹介しましたが、それでも老後に備えて準備する必要があるのは間違いありません。

・公的年金はつぶれない

・公的年金と雇用のミスマッチ期間は生じない

とはいえ、

・公的年金水準は下がる

・平均寿命の伸長は著しい

・貯金が多いほど老後の取り崩し予算は増やせる

 以上のことを勘案すれば、やはり老後に備える必要があることは間違いありません。

 そのとき、税制優遇があることは大きなメリットであり、これらを優先的に活用するのが老後資産形成の王道ということも間違いないのです。

 あなたの老後の支えを作ろうと提案してくる人が、iDeCoやつみたてNISAを挙げず、他の金融商品を勧めてくるようなら、一定の距離を置いてもいいでしょう。

 自分の取扱商品だけを推すのは顧客目線ではなく会社の都合であると考えることです。

 ウソやミスリードに引きずられることなく冷静に判断して、確実に老後資産の増強を図っていってほしいものです。

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