日本国債デフォルトの迫りくるXデー。その時日本に何が起こる?

確固たる論調と鋭いまなざしで、熱をもって語る真山氏

 前作の『オペレーションZ』では、歳出半減をテーマに取り上げました。このままでは、日本は国家破綻してしまうと危惧しているからです。

 今年も災害がありました。川が氾濫したり、土砂災害があれば命を取られます。あるいは、津波が来たら、場所自体が消えてしまいます。これは目に見え、肌で実感できる危機です。一方で、国家が破綻しても最初のうちは何も変わりません。そこが、日本が危機意識を持てない理由かもしれません。

せっかくの一周年特別インタビューなのに、なんだか暗い話になってしまいました、と照れ笑いする一面も

 国家破綻すると、通貨の信用がなくなるので、輸出と輸入が難しくなります。輸入に頼っているガソリンは、1リットル1万円になるかもしれません。これでは交通に支障が出ます。

 車だけでなく、石油を使って作る電気も供給が難しくなるでしょう。国家破綻してから気づいても、もう遅いのです。ところが、今「日本の財政危機はすぐそこに!」と言う人はいませんし、表向きは問題にもしていません。

 日本人の想像力が乏しくなってしまっているので、せめて小説の中で疑似体験してもらいたいと思っています。小説を通じて「本当にこんな国でいいのか?」と多くの人たちに思ってもらいたくて、一生懸命、書いています。

 国家破綻に瀕した日本にこれから起きると予想されるのは、若手のエリートと金持ちはこの国を捨てていくのではないか、ということ。残るのは介護が必要な大勢のお年寄りと、外に出ていくことができない若者と、会社にしがみついている人たちだけではないかと思います。

※次回予告(中編公開中

日本経済の現状を俯瞰して見せてくださった真山仁さん。次回の中編では、ど真ん中の“投資”について語ってくださいます。経済小説家が考える、理想の投資とは? はたまたモノ言う株主にもの申す!にも、こうご期待!


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不良債権を抱え瀕死状態にある企業の株や債券を買い叩き、手中に収めた企業を再生し莫大な利益をあげる、それがバルチャー(ハゲタカ)・ビジネスだ。ニューヨークの投資ファンド運営会社社長・鷲津政彦は、不景気に苦しむ日本に舞い戻り、強烈な妨害や反発を受けながらも、次々と企業買収の成果を上げていった。

 

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官邸は迷走し、首都電が責任回避に奔走するばかり。原発メルトダウンの危機は確実に進行する。表向き救世主として振る舞う鷲津は、けっして本当の狙いを明かさない。原発事故の危機のカウントダウンと、ハゲタカ鷲津の巨大買収劇が、同時並行で進む、リアル金融サスペンス。驚愕と感動の結末へ向かう!

 


【著者情報】
真山仁(マヤマジン)
1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。読売新聞記者を経て、フリーランスとして独立。2004年、熾烈な企業買収の世界を赤裸々に描いた『ハゲタカ』(講談社文庫)で小説家デビュー

 

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8/23公開   (前編)人のせいにする日本人。経済危機Xデーを想像せよ

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8/30公開   (後編)情報は発信源を疑え!陳腐化しない情報と仕事の作り方

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