できるだけ慎重に銘柄選択を
株式市場は外部環境の変化によって、大きく変動することがあります。今年ここまで市場を揺らしているのは「トランプ米政権の保護貿易姿勢(米中貿易摩擦)」、「地政学的リスク」、「米金利」、「為替」などが大まかなものですが、足元は新興国通貨の下落、ひいては新興国経済の悪化するのではないかという懸念が台頭しています。トリガーとなったのは8月第2週のトルコリラの急落です。対円では一日で約20%も下落する歴史的な場面もありました。
このような激しい動きの初動は、ほとんどの場合(とくに通貨市場では)投機筋による「仮需(かりじゅ)」によるものです(FX取引もそれに含まれます)。株式市場では株価指数先物に対する投機売り、ヘッジ売りがかさみ、大幅安となることが多く見られます。その後、実体経済への影響を織り込む動きに変化していきますが、このステージになると、初動に比べ緩やかな動きになることが多いです。
ひとつ気を付けておかなければならないのは、自らのポジションに即した、いわゆる「ポジショントーク」のような理解をしないことでしょう。何も問題がなければ通貨にしても株価にしても急落することはなく、ここでは確かに「問題」は存在しているのです。希望的観測に基づく判断はしないほうがいいのです。
相場が荒れると、投資家の見方はやはりネガティブに転換していきます。そうした時に持ち上がってくるのは「中身のいい銘柄(キャッシュリッチ株など)」、「割安な銘柄(低PBR株など)」を見直す気運です。高配当銘柄や株主優待がある銘柄もそれに含まれます。業種においては、医薬品、食品、電力・ガスなどのディフェンシブ銘柄に目が向く傾向もあります。海外発の波乱の場合には相対的に内需株が選好されます。
このほか、「状況は株価そのものが映している」という判断の仕方もあります。つまり、いかに全体相場が荒れた動きになったとしても、その銘柄の下落が限定的であったり、逆行高している場合は、それほどの影響はないのではないか、という考え方です。
銘柄選択においては、非常に悩ましい局面であることに変わりありません。できるだけ株価変動が少ない「9月末優待付き銘柄」を取り上げてみます。9月の株主優待の権利付き最終日は9月25日(火)です。